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COLUMN
2026年3月、マルハニチロは「Umios株式会社」へと社名を変更しました。長い歴史を持つ食品・水産企業が、なぜ新しい社名とロゴを掲げたのか。そこには、単なるイメージ刷新ではなく、企業の存在意義や事業領域の再定義が深く関係しています。Umiosの新ロゴは、海をルーツに持つ企業が、食を通じて人と地球の未来に向き合う姿勢を視覚化したブランドシンボルです。本コラムでは、Umiosの企業概要やブランド戦略、新ロゴのデザインの特徴、そしてロゴが伝えようとしている価値について解説していきます。
Umios株式会社は、旧マルハニチロ株式会社が2026年3月1日に社名変更して誕生した企業です。前身であるマルハは1880年、ニチロは1907年に水産業のパイオニアとして創業し、2007年に両社が経営統合してマルハニチログループとなりました。公式発表では、1880年の創業を第一創業、2007年の経営統合を第二創業とし、今回の社名変更を「第三創業」と位置付けています。なお新社名である「Umios」は、「umi」「one」「solutions」を組み合わせた造語です。企業のルーツである海を起点に、ステークホルダーや社会全体、そして地球と一体となり、食を通じて地球規模の社会課題を解決していくという意味が込められています。
今回の社名変更の背景には、従来の「水産・食品企業」という認識から、「海を起点とした価値創造力で、食を通じて人も地球も健康にするソリューションカンパニー」へと進化する意思が感じられます。またその視点でUmiosの新ロゴを見ると、単に新しい会社名を表示するためのマークではないことは一目瞭然です。企業がこれから何を目指し、社会に対してどのような価値を提供していくのかを示す、ブランドの旗印として設計されているポイントが見え隠れします。
さらにパーパスとして掲げられた「For the ocean, for life」のフレーズにも注目していきましょう。これは、従来のブランドステートメント「海といのちの未来をつくる」をベースに、グローバル企業としての決意を込め再編集されたものと考えられます。海への敬意、いのちを支える食、地球全体の健康というテーマは、間違いなく新しい社名とロゴにも影響を与えています。
ここまで見て分かるように、Umiosの新ロゴは、過去の企業イメージを捨てるためのものではなく、145年以上にわたって積み重ねてきた海との関係性を、未来に向け進化させたメッセージと言えるでしょう。今回のロゴ変更は表面的なデザイン変更などではなく、企業の立ち位置を再定義するブランディング施策として見ることができます。
Umiosの新ロゴのコンセプトは「BLUE PLANET」です。公式サイトでは、生命の源である海への敬意を持ちながら、水の惑星である地球をシンボリックにデザインしたものと説明されています。青い部分は海を、白い部分は拡張していく新たな領域を表しています。
水産・食品企業であれば、魚、波、船、食卓など直接的なモチーフにする選択肢もあったはずです。しかしUmiosはそれを選ばなかった。それは、事業内容を分かりやすく伝えられる一方で、企業イメージを「水産」や「食品」の範囲に限定してしまう可能性があるデザインだったからだと考えられます。
Umiosの新ロゴは、海を起点としながらも、地球というより大きな概念に接続しています。これは、事業領域を水産・食品からさらに広げ、グローバルな視点で、人と地球の課題解決に取り組む企業へとスケールアップしていく姿勢を示したものと解釈できます。つまりこのロゴは、何を扱う会社かではなく、どのような未来を目指す会社かを伝えるためのシンボルなのです。直接的な説明を避けた抽象性こそが、Umiosのブランドの広がりを支えていると言えるでしょう。
また作図上の特徴としては、円形に近いまとまりを持ちながら、内部には有機的な曲線が使われています。完全な幾何学円ではなく、流れのある曲線によって構成されているため、静的な地球儀ではなく、水の動きや生命感を含んだシンボルに見えます。これは、海をルーツに持つ企業にとって自然な造形です。
そして注目すべきは、青・白・赤の3色による、はっきりとしたコントラストの色彩設計です。公式説明では、青い部分は海を、白い部分は拡張していく新たな領域を表すとされていますが、青は海、信頼、清潔感、グローバル感を伝えやすく、白は余白、可能性、未開拓領域を感じさせる色として認識されることでしょう。
一方、赤については公式に明確な意味づけが示されているわけではありません。ただし、旧マルハニチロのロゴでは赤色が強い視覚的印象を担っていました。そのため、Umiosのロゴタイプに使われている赤は、社名やシンボルを大きく刷新しながらも、旧ブランドが持っていた視覚的資産を継承し、新ブランドとの連続性を持たせる役割を担っていると推察できます。
つまり、青と白が「海」と「新たな領域」を象徴する色であるのに対し、赤は企業としての活力や意志を補強するとともに、マルハニチロからUmiosへの移行を視覚的に橋渡しする色だと言えます。大きく変わったように見える新ロゴの中にも、長年培ってきたブランドイメージを断絶させないための設計が組み込まれているのです。
もうひとつ、ロゴタイプが「umios」と小文字で統一されている点にも注目しましょう。正式な会社名は「Umios株式会社」ですが、ロゴでは小文字表記が使われています。これは、視覚的なやわらかさや親しみやすさを出すための判断だと考えられます。大文字の「U」を立てるよりも、小文字の「umios」とした方が、ロゴタイプとしてのまとまりが得られやすく、またシンボルマークの丸みや流動感ともうまく調和します。
食品企業として生活者との距離を近く保ちながら、同時にグローバル企業としての未来感も表現する。その両立のために、この小文字のロゴタイプは有効にはたらいています。重厚で権威的な印象よりも、開かれたブランド、柔軟なブランド、共創するブランドとして見せる方向性としてデザインしたことが感じられます。
Umiosの新ロゴが最も強く伝えようとしているのは、企業の認識転換です。これまでのマルハニチロには、水産、冷凍食品、缶詰、加工食品といった具体的な事業イメージがありました。これらは企業の強みであり、長年築いてきた信頼の源泉です。
しかし、Umiosが掲げる新しい方向性は、それだけにとどまりません。公式ブランドサイトでは、「地球の宿題に食で答える会社に進化します」と表現されています。また、海を起点とした価値創造力で、食を通じて人も地球も健康にするソリューションカンパニーとして生まれ変わることが示されています。
ここでロゴが担う役割は、非常に大きいものとなります。なぜなら、社名変更や企業理念の刷新は、文章だけでは社会に浸透しにくいからです。人は企業の変化を、まず視覚で受け取ります。新しいロゴがあることで、「この会社は変わろうとしている」という印象が一瞬で伝わります。
Umiosのロゴは、従来の食品メーカー的な安心感だけでなく、地球環境、持続可能性、生命、未来といったテーマを背負うための視覚記号です。青い地球のようなシンボルは、企業の活動領域が日本国内や食品売場だけではなく、海洋資源、食料供給、生態系、グローバルな社会課題へ広がっていることを示しています。つまりロゴにかけられた期待とは、「マルハニチロ=食品・水産の会社」という既存イメージから、「Umios=海と食を通じて人と地球の未来に向き合う会社」という認識へと移行させることです。これは簡単ではありません。旧ブランドの認知が強いほど、新ブランドの浸透には時間がかかります。
だからこそ、新ロゴは分かりやすさと抽象性のバランスを取っています。海を感じさせる青、地球を思わせる円形、未来への広がりを示す白い余白。これらの要素によって、企業の過去と未来をひとつの視覚表現にまとめています。
Umiosの新ロゴは、派手な造形で目を引くロゴではありません。むしろ、企業の思想を広く受け止めるための器として設計されたロゴです。その視点で見ると、水産、食品、環境、健康、地球課題といった複数のテーマを、一つのブランドシンボルとして統合されたものであることが見えてくるのではないでしょうか。
※ロゴ画像引用元:https://www.umios.com/
※本記事はデザインの研究・考察を目的として公開しており、権利を侵害する意図はございません。
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