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COLUMN
ロゴは、企業の理念や思想を端的に伝えるための視覚装置です。とくにインフラや建設といった「成果物そのものが巨大で、完成までの時間も長い」産業においては、ロゴが果たす役割は単なる識別記号にとどまりません。Eiffageのロゴは、欧州を代表する総合建設グループとしての在り方を、極めて合理的かつ実務的に可視化した好例です。本稿では、同社の企業概要からロゴの視覚設計、そこに込められた思想、そしてなぜこのロゴ設計が機能しているのかを整理し、最後にロゴ作成における実務的な示唆へとつなげていきます。
Eiffageはフランスを本拠地とする、欧州有数の建設・インフラ企業グループです。土木、建築、エネルギー、金属構造、道路・鉄道インフラの建設から維持管理までを一貫して担い、公共性の高い大規模プロジェクトを数多く手がけてきました。事業領域は極めて広く、グループ傘下には多数の子会社・専門会社が存在します。
このような企業においてロゴが担う役割は、「企業をおしゃれに見せること」ではありません。むしろ重要なのは、国・自治体・企業・市民といった多様なステークホルダーに対し、「信頼できる主体であること」「巨大な組織が統制されていること」を一目で伝えることです。Eiffageのロゴは、こうした前提条件を踏まえ、ブランディングというよりも“社会インフラとしての識別装置”として設計されています。
Eiffageのシンボルマークは、頭文字である「E」を抽象化した、非常にシンプルな幾何学構成で成り立っています。複数の横長の矩形と、それを束ねる縦の要素によって構成され、全体としては立体感や積層感を感じさせる造形です。
形状面で注目すべきなのは、「説明的なモチーフを一切使っていない」点です。橋、道路、建物といった分かりやすい象徴を排し、純粋に構造体として成立する形に落とし込んでいます。これは、特定の事業や時代にロゴの意味が縛られないようにするための判断といえます。
色は赤の単色使いが基本です。赤は注意喚起やエネルギーを象徴する色であり、工事現場や屋外環境でも視認性が高いという実務的な利点があります。また、白地・黒地のどちらでも成立するため、媒体を選ばず展開できる汎用性を備えています。
構造的には、線や面の太さが均一で、縮小・拡大時の破綻が起こりにくい設計です。これは印刷物、仮囲い、重機、車両、デジタルサイネージなど、使用環境が極端に幅広い企業にとって不可欠な条件です。
Eiffageのロゴが伝えているのは、「創造性」や「革新性」といった抽象的な言葉ではありません。むしろ前面に出ているのは、堅牢性、安定性、継続性といった価値です。
積層された形状は、長年にわたって積み上げられてきた技術や実績を想起させます。また、過度な装飾を排した無機質とも言える造形は、感情よりも合理性を優先する企業姿勢を象徴しています。これは、「目立つこと」よりも「任せてもらうこと」が重要なインフラ企業にとって、極めて妥当な思想です。
さらに、このロゴは個性を主張しすぎません。これは弱点ではなく、グループ全体を束ねるための設計思想です。子会社や事業ブランドが前に出る余地を残しつつ、最終的な信頼の拠り所としてEiffageの名前とマークが機能する構造になっています。
このロゴ設計が機能している最大の理由は、「使われ方」から逆算されている点にあります。建設現場では、ロゴは美術館の壁に飾られるものではありません。埃や汚れの中で視認され、遠くから識別され、時には一瞬で認知される必要があります。
Eiffageのロゴは、こうした環境下でも意味を失わないよう、視覚的な基本性能が徹底的に確保されています。形が単純であること、色が限定されていること、再現性が高いこと。これらはすべて、実務上の要請に応えた結果です。
また、グローバル展開を前提としているため、文化や言語に依存しない点も重要です。抽象度の高いシンボルは、国境を越えて同じ意味を保ちやすく、ブランドの統一運用を可能にしています。
Eiffageの事例から得られる最大の示唆は、「ロゴは設計物である」という点です。見た目の好みや流行から出発するのではなく、誰が、どこで、どのように使うのかを明確にしたうえで形に落とし込む。そのプロセスこそがロゴ作成の本質です。
とくに企業ロゴにおいては、「目立つかどうか」よりも「違和感がないか」「信頼を損なわないか」が優先されます。Eiffageのロゴは、派手さを排することで、長期的に使い続けられる強度を獲得しています。
自社やクライアントのロゴを考える際も、まず問うべきは「何を表現したいか」ではなく、「どんな役割を担わせるのか」です。その答えが明確になったとき、デザインの方向性は自ずと絞られていきます。Eiffageのロゴは、その設計思考を学ぶ上で、非常に示唆に富んだ事例だと言えるでしょう。
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