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Puigのロゴ刷新を読み解く。創造性を可視化したシンボルマークの設計思想とは

スペイン・バルセロナ発のプレミアムビューティ企業、Puig(プーチ)は、2024年に新しいコーポレートロゴを発表しました。これは単なる見た目の刷新ではなく、上場という大きな転換点に合わせて、企業として何者なのかを改めて定義し直すためのブランド再設計でした。

Puigは香水、ファッション、メイクアップ、スキンケアをまたぐ複数のブランドを抱える企業です。そのため、ロゴには個別ブランドを束ねるコーポレートの思想まで背負わせる必要があります。本稿では、Puigの企業概要を踏まえながら、このロゴがどのような設計でつくられ、何を伝えようとしているのかを整理します。

1. プレミアムビューティ企業としてのPuigと、ロゴに課された役割

Puigは1914年創業の企業で、現在はプレミアムビューティ領域におけるグローバルプレイヤーとして事業を展開しています。公式サイトでは、香水・ファッション・メイクアップ・スキンケアを横断する企業として位置づけられており、Carolina Herrera、Charlotte Tilbury、Byredo、Jean Paul Gaultier、Rabanne、Penhaligon’s など、多様なブランドを擁しています。2024年には新たなビジュアルアイデンティティを導入し、同年5月にはスペイン証券取引所での上場も開始しました。つまり新ロゴは、成長企業としての現在地と、次のフェーズへ進む企業意思を同時に示すサインだったわけです。

この文脈で重要なのは、Puigのロゴが個別商品の販促記号ではなく、企業全体の理念を束ねるコーポレートシンボルだという点です。公式リリースでは、今回の刷新について「Home of Creativity」を強化するためのものだと説明しています。長い歴史と革新への志向、控えめな企業姿勢と感性豊かな創造性、その両方を接続する役割を新しいロゴに持たせたということです。ブランドを保有する会社ではなく、ブランドが育つ“創造の場”として自社を定義し直す。その思想の可視化が、このロゴの第一義です。

2. シンボルマークの造形はどう設計されているのか

Puigの新ロゴで最も特徴的なのは、有機的な曲線で作られた独特な雰囲気のあるシンボルマークです。公式には、この図形はJoan Miróの作品に着想を得た「創造性の無限の線」を表すものとされています。同時に、1970年代にYves Zimmermanが手がけた過去のPuigロゴも参照しており、完全な断絶ではなく、歴史資産を現代化したデザインです。新しいのに、根は古い。刷新なのに、会社の記憶を捨てていません。

造形面で見ると、このシンボルは左右対称をベースにしながら、硬い幾何学ではなく、連続する有機的な曲線で組まれています。中央には滴や核のような縦方向の形があり、その周囲を複数の線が取り巻く構造です。これにより、香りの拡散、感性の波及、ブランド群の広がりといった意味を自然に読ませることができます。しかも線端は丸く、全体の線幅も比較的均質なので、ラグジュアリーでありながら攻撃的ではありません。美容企業らしい柔らかさと品位が保たれています。これは単なる装飾ではなく、業種適合性まで含めて設計された抽象記号です。

競合との差異化という観点でも、このロゴは機能しています。近年のファッション・ビューティ業界では、サンセリフ中心の無個性なワードマーク化が続いてきました。そうした流れに対して、Puigは抽象度の高いシンボルを前面に出し、しかも歴史的な参照と芸術的背景を持ち込んでいます。Creative Bloqもこの点を、均質化したブランド表現に対するカウンターとして評価しています。つまりPuigのロゴは、ただ洗練されているだけでは弱い市場で、「この企業は創造性を看板にしている」という差異を明確に打ち出しているのです。

3. このロゴが伝えようとしている価値と、ブランドへの効果

Puigのロゴが優れているのは、具体物を一つに固定せず、それでも意味の重心がぶれない点です。見る人によっては花、雫、炎、指紋、噴水のようにも見えるはずです。しかしこの曖昧さは欠点ではありません。むしろ、香りや美しさ、創造性のような無形価値を扱う企業にとっては理にかなっています。即物的な記号にすると意味が狭まる一方で、抽象度を保てば企業全体の価値観まで包み込めるからです。Puigがこのロゴで行っているのは、商品カテゴリーを説明することではなく、企業の世界観そのものを記号化することです。

さらにこのロゴは、企業ブランディングの観点からも実務的な効果が見込めます。Puigのように多数のブランドを抱える企業では、コーポレートブランドが弱いと、外部からは単なる持株会社か販売会社に見えやすくなります。しかし「Home of Creativity」という思想を軸にロゴを再構築することで、Puigはブランド群を束ねる上位概念としての存在感を獲得しやすくなります。歴史への敬意、芸術との接続、創造性の重視、そして上場企業としての新しいフェーズ。その全部を一本の線のメタファーにまとめた点に、このロゴの戦略的価値があります。

Puigのロゴは「きれいなマーク」では終わっていません。企業の現在地と未来像をつなぎ、創造性を中核に置く会社であることを、視覚言語として再定義したコーポレートアイデンティティです。ロゴを変えたのではなく、企業の語り方を変えた。その中心に、このシンボルマークがあるのだと解釈できます。


※ロゴ画像引用元:https://www.puig.com/
※本記事はデザインの研究・考察を目的として公開しており、権利を侵害する意図はございません。

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