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COLUMN
フードデリバリーサービスが都市生活の基盤として定着する中、Deliverooは独自のオペレーションモデルと強力なブランド戦略によって急成長を遂げてきました。同社は「食の即時性」という新しい価値を提供するだけでなく、ロゴマークを中心に据えた明確な視覚戦略によって、市場での存在感を確立しています。本コラムでは、Deliverooという企業の成長背景を紐解きながら、ブランドアイデンティティを支えるロゴデザインの特徴や、街とデジタル空間を貫くブランド展開の手法を解説します。同社の企業概要、ロゴデザインの意図、そしてブランド展開における視覚戦略を整理し、同社がどのように世界的ブランドへと成長したのかを見ていきます。
Deliverooは、2013年にウィル・シュウ氏とグレッグ・オロフスキー氏によってロンドンで設立されたフードデリバリー企業です。オンデマンド型の配達インフラと、デジタルプラットフォームとしての高度なオペレーション構築を軸に、短期間で欧州を代表するデリバリー企業へ成長しました。創業当初はロンドンの小規模な地域から事業をスタートしましたが、需要予測アルゴリズムと配達効率を追求したシステム最適化により、事業領域はイギリス国内のみならず欧州、アジア、中東へと急拡大しています。
同社の強みは、飲食の配送を単なる物流ワークフローではなく「都市生活に根付くインフラ」と捉え、レストラン、配達員、消費者の三者をつなぐエコシステムを一貫してデジタル化した点にあります。特に「Deliveroo Editions」と呼ばれるクラウドキッチンは、同社の成長モデルを象徴する取り組みです。これは、需要が集中するエリアに複数のレストランブランドの調理機能を集約し、配送需要に最適化した“キッチン・インフラ”を構築するものです。これにより、実店舗を持たないレストランでも新規顧客層へ効率的にリーチでき、また消費者はより幅広いメニューを短時間で受け取ることができます。
さらに同社は、配達員向けのアプリ、レストラン向けのオーダー管理ツール、ユーザー向けのトラッキング機能といったデジタル基盤を整備し、サービス全体のUXを一貫して最適化しています。近年は食料品・日用品などのクイックコマースにも領域を広げ、生活圏における「即時配送」の価値を拡張し続けています。こうした事業戦略全体の統合点としてロゴマークが機能しており、ブランドの視覚資産として欠かせない役割を果たしています。
Deliverooのロゴマークは、2016年のブランド刷新時に大きく再構築されました。従来は写実的なカンガルーが描かれたロゴでしたが、リブランディングを機に大幅に抽象化され、デジタル時代に最適化された幾何学的なシンボルへと生まれ変わりました。このシンボルは「Roo(カンガルー)」のキャラクター性を残しながら、スピード・機能性・都市的リズムを視覚言語として落とし込んでいる点が特徴です。
特に印象的なのは、三つの点で構成された“顔”のようなミニマルな表現です。これにより、抽象度の高いシルエットでありながら「親しみ」と「軽快さ」を維持し、同時にロゴとしての視認性・認識性を高めています。角張った形状は動きを暗示し、フードデリバリーの核となる「スピード感」を示唆する設計となっています。
ブランドカラーに採用されている明るいターコイズ(Deliveroo Teal)は、都市の雑多な景観の中でも強い存在感を示すために選定された色です。デジタルUIに適合するコントラストと、ポジティブでフレッシュな印象が共存しており、同社のブランドパーソナリティを象徴しています。
総じて、Deliverooのロゴは「フードデリバリーをもっと身近で、よりスマートに」というブランドメッセージを、直感的に伝えるための機能的デザインとして成立しています。単なる装飾ではなく、プラットフォーム企業としての目指す方向性を端的に表す“視覚戦略の核”と言える存在です。
Deliverooがロゴを軸に展開したブランド戦略の最大の特徴は、ロゴマークを「街中を動く広告装置」として機能させ、それを通じてサービス体験全体へ深く浸透させた点にあります。刷新後のロゴとターコイズカラーは、配達バッグ、ユニフォーム、自転車・バイクといったあらゆる接点に一貫して展開され、街を移動する配達員それ自体が強力なモビリティ広告として機能しています。特にターコイズの高い視認性は都市環境で圧倒的な存在感を発揮し、「街のどこにいてもDeliverooが目に入る」状態を作り出しました。
またオンライン領域でも、アプリUI、通知画面、注文履歴、マップ上の動的な配達トラッカーなど、ユーザー接点のあらゆる部分にロゴの形状・色彩が反映されています。その結果、ユーザーは「アプリ体験」と「街中の視覚体験」を同一ブランドとして自然に統合して認識し、ブランドの記憶が日常的に蓄積されていきます。
さらに、クラウドキッチン「Deliveroo Editions」や地域プロモーション、イベント協賛など、オフライン施策でもロゴが視覚的軸として機能し、ブランドイメージを強固にする役割を担っています。Deliverooが築いたこの統合的なブランド展開は、ロゴを単なる企業識別記号ではなく、プラットフォーム価値を象徴する「視覚インフラ」として扱うアプローチです。都市の生活動線の中で自然と浸透させていくことで、ユーザーとの心理的距離を縮め、ブランドロイヤルティ形成にも寄与しています。
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