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医療機関のロゴは、なぜ「それらしく」見せないのか?──MEOCLINICのロゴに学ぶ設計思考

企業ロゴは、見た目の美しさだけで評価されるものではありません。特に医療分野においては、「安心感」「信頼性」「専門性」といった要素が、視覚表現の裏側でどのように設計されているかが問われます。
今回取り上げるのは、ドイツ・ベルリンに拠点を構えるMEOCLINICのロゴです。一見すると医療ロゴらしからぬ、装飾性の高いシンボルマーク。しかしそこには、明確な設計思想と、計算されたブランド戦略が存在します。本記事では、このロゴを題材に「なぜこの形なのか」「何を伝えようとしているのか」を設計の視点から読み解いていきます。

企業概要とロゴの役割

MEOCLINICは、ドイツ・ベルリン中心部に位置するプライベートクリニックです。30以上の診療分野を横断的に扱い、専門医が連携するインターディシプリナリーな医療体制を特徴としています。いわゆる「町の病院」ではなく、高度医療・予防医療・国際患者対応までを含めた、都市型・国際型の医療施設です。

このような企業背景を踏まえると、ロゴに求められる役割は明確です。
それは「何科の病院か」を説明することではなく、「どのレベルの医療体験を提供する場所なのか」を瞬時に伝えることです。MEOCLINICのロゴは、情報を語るための記号ではなく、ブランドの格と思想を象徴するための装置として設計されています。だからこそ、医療分野で多用されがちな十字、心臓、人体シルエットといった直接的表現は選ばれていません。

視覚要素の分解(形・色・構造)

シンボルマークの中心にあるのは、カリグラフィーを思わせるテイストで描いたフェニックスです。フェニックスは神話において「再生」「回復」「不死」を象徴する存在であり、医療との親和性が非常に高いモチーフです。ただし、ここで重要なのは「フェニックスを描いている」という事実そのものではありません。

造形は極めて抽象化されており、羽根や胴体は明確な輪郭を持たず、流れるような曲線で構成されています。これはイラスト的表現ではなく、象徴としてのフェニックスです。左右に広がる羽根は反復するリズムを持ち、生命の循環や身体機能の連動性を想起させます。一方で、線の強弱や抑揚にはカリグラフィー的な筆致が感じられ、人の手による温度感が残されています。

色彩はモノトーンに近く、過度な色数は使われていません。これにより、装飾性がありながらも医療機関としての品位が保たれています。構造的にも、シンボルとロゴタイプは明確に分離され、視認性と拡張性が確保されています。シンボル単体でも成立し、空間サインやアイコンとして機能する設計です。

ロゴが伝えようとしている価値・思想

このロゴが伝えているのは、「治す場所」という単純な医療イメージではありません。フェニックスというモチーフを通じて示されているのは、人が本来持つ回復力や再生力を引き出す医療という思想です。
また、抽象度の高い表現に留めている点から、「特定の疾患」や「特定の治療」を象徴する意図は見られません。これは、MEOCLINICが単科医療ではなく、総合的な医療プラットフォームであることを示唆しています。

さらに、カリグラフィー的な表現は「人間性」や「個別性」を暗示します。標準化・効率化が進む現代医療の中で、患者一人ひとりと向き合う姿勢を、あえて非工業的な線で表現している点は注目すべきポイントです。
このロゴは、「高度でありながら冷たくない医療」という、一見相反する価値を同時に伝えています。

なぜこの設計が機能しているのか

このロゴ設計が機能している最大の理由は、ロゴに情報を詰め込んでいないことにあります。業種説明やサービス説明をロゴで行おうとすると、どうしても陳腐な表現に陥りがちです。MEOCLINICはその逆を選び、「価値」と「姿勢」だけを抽象的に提示しています。

その結果、見る側はロゴを見た瞬間に「このクリニックは普通ではなさそうだ」「質が高そうだ」という印象を受けます。これは説明ではなく、感覚への訴求です。
また、装飾性の高いシンボルと、理性的なサンセリフ体のロゴタイプを組み合わせることで、感性と信頼性のバランスが取られています。どちらか一方に偏っていないため、医療機関としての説得力を失わずに済んでいます。

ロゴ作成における示唆

MEOCLINICのロゴから得られる最大の示唆は、「ロゴは説明しなくていい」という点です。むしろ、説明しようとするほど、ブランドは弱くなります。
重要なのは、「自社が何をしているか」ではなく、「どんな価値観でそれを行っているか」を抽象化できているかどうかです。

実務においてロゴを作成する際、多くの人が「業種が分かるか」「サービスが伝わるか」を気にします。しかし、本当に機能するロゴは、その一段上にある概念を扱っています。
MEOCLINICのように、再生・回復・人間性といった普遍的価値を象徴として設計できれば、事業が拡張してもロゴは陳腐化しません。

ロゴ作成において問われるのは、デザインスキル以前に設計視点です。
何を描くかではなく、何を語らせないか。この判断ができるかどうかが、ロゴの寿命とブランドの強度を大きく左右します。

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