ロゴ制作・ロゴデザインを依頼するならsynchlogo(シンクロゴ)
COLUMN

ロゴ制作・ロゴデザインを依頼する上で、まずはじめに気になるのは制作費用や作成料金といったコストのことではないでしょうか。ロゴが必要となる起業や開店などはそう何度も行うものではなく、ほとんどの場合ロゴ制作を誰かに依頼するのは皆はじめてで、どれくらい費用や料金がかかるのか皆目見当がつかないのではないかと思います。
また、デザインに精通していない依頼者にとって、ロゴは様々なデザインのノウハウが詰まっている高度な制作物のようにも見えるし、逆にデザイナーのセンスや思い付きでさほど時間をかけずに作ったもののようにも見えると思います。ロゴは「グラフィックデザイン」の範疇に入る制作物ですが、様々な制作物の中でも、ロゴは最も制作過程が見えづらいとデザイナーの間でもしばしば言われます。つまり制作過程が見えないのですから、費用や料金を提示されても、その金額が妥当なのかどうか判断するのは難しくて当然なのです。
このコラムは、現在のロゴデザイン・ロゴ制作の相場の実態を調査・分析し、ロゴ制作費・作成料金の見方を整理することで、誰でもロゴデザイン・ロゴ制作の適正相場や最適価格を正しく見極められるようになることを目的に書いたものです。これからロゴを作ろうと考えている方は、提示された金額に納得した上でロゴデザイン・ロゴ制作が発注できるよう、是非このコラムをご一読頂ければと思います。
【このコラムの執筆者紹介】
西村渉(にしむら・わたる)|当サービスsynchlogoの運営責任者兼チーフデザイナー。ロゴデザイン事務所「nishimuraLOGO.design」主宰。ストックロゴ型ロゴデザインサービス「ロゴマーケット」参画。
ロゴデザインのキャリアはクラウドソーシングと某無料提案型ロゴデザインサービスでの活動からスタート。その後様々な企業・個人からのロゴ作成業務を請け負う傍ら、自身でもロゴ制作サービス「synchlogo」を立ち上げ年間数十件のロゴを世に送り出している。ロゴデザインを専門とした事業を始めて10期目となり、同業界に幅広く精通している。
まずは、2025年現在のロゴ作成料金・デザイン費用の相場について、synchlogoが独自に調査・分析した結果をご覧頂きたいと思います。調査・分析の概要については以下の通りです。
【ロゴ作成料金・デザイン費用の相場調査・分析概要】
・デザイン業を生業とする会社・個人が、インターネット上に公開している料金を調査
・クラウドソーシングやスキルマーケットでの募集・実績例を調査
・価格帯と制作者(依頼先)種別の相関関係を分析
・提案数・制作プロセス・納品物・著作権譲渡等、提供するサービスの内容も確認
ロゴ制作を請け負う制作者(依頼先)は、代表的な種別を挙げると、デザイン業を生業としている制作会社・デザイン会社などの企業から、デザイン事務所を構えている個人事業主、フリーランスや副業で活動している個人デザイナーまでと幅広く、規模・形態も様々です。
しかし、この制作者の種別に目を向けるとある特徴が浮かび上がってきました。それは、制作者(依頼先)の種別と価格帯がある程度リンクしているということ、それと相場の最高金額と最低金額の差が20倍以上あるということです。
| 相場レンジ | 制作者種別 | 依頼ルート | 相場・費用感 |
| ①低価格帯 | デザイナー(個人・副業) | クラウドソーシング経由 スキルマーケット経由 | 0.5万円~5万円 |
| ②中価格帯 | デザイン事務所(個人事業主) 中小制作会社 中小デザイン会社 | 依頼ルートA:直接依頼 依頼ルートB:代理店経由 | 依頼ルートA: 3万円~10万円 依頼ルートB: 8万円~30万円 |
| ③高価格帯 | 大手制作会社 大手デザイン会社 | 直接依頼 代理店経由 | 20万円~100万円以上? |
▲ロゴ制作の価格帯早見表
そして上の表のように、この非常に差のある価格は、制作者の種別によって大きく3つの価格帯に分類することができます。またそれぞれの価格帯によって、客層(依頼者のカテゴリ)、依頼の方法、ロゴ制作の取り組み方などが大きく異なることも分かりました。
ここからはその違いを、制作状況の実態と共にご紹介していきたいと思います。
低価格帯のロゴ制作のほとんどは、クラウドソーシングやスキルマーケットと呼ばれるマッチングサービスを介して行われています。いずれのサービスも、登録している特定のスキルを持った個人と、そのスキルを必要としているクライアントがマッチングし、何らかの仕事が成約すると、その契約金額に応じた手数料がサービス運営者へと支払われる、という仕組みになっています。
これらのサービスを利用するのは、「スキルを安く提供して欲しい発注者」と「安くしかスキルを提供できない受注者」がほとんどです。ロゴ制作のケースでは、起業したてなどの理由で予算があまりなく、できるだけお金をかけずにロゴを作りたいという発注者と、デザイナーとして駆け出しであるなど、自分のデザインスキルに対する自信のなさから低価格でしか請け負えないという受注者という組み合わせが多く見られます。
クラウドソーシングやスキルマーケットが出現するまでは、ロゴ制作は「お金がかかるもの」という認識が一般的でした。なぜなら、名刺、チラシ、パンフレット、ポスター、パッケージなど、広告やビジネスをサポートする各種のグラフィックデザインの中でも、ロゴは特に、以下のような難しい課題をクリアするための高次のスキルや経験が必要とされていたからです。
・様々な使用目的や環境に耐えうるデザインが必要 →ユニバーサルデザインの知識
・強い差別化や唯一性、オリジナリティなどが求められる →高いクリエイティビティ
・「機能性」と「デザイン性」を兼ね備えた意匠制作 →繊細なバランス感覚
そういった理由から、一昔前まではロゴデザインを積極的にやりたがるデザイナー自体あまり多くなく、そのためロゴ制作費・作成料金の相場は高くて当たり前とされており、グラフィックデザインの業界では、「ロゴが出来ればどんな制作物のデザインでもできる」とまで言われるほどだったのです。
しかし、その状況が、クラウドソーシング・スキルマーケットの登場により一変します。発注者側の「クオリティが低くても安く作りたい」というニーズ、そして受注者側の「スキル・経験がなくてもロゴをデザインしたい」というニーズが共に発掘され、それらのマッチングを可能にしたことで、この低価格帯のロゴ制作現場が誕生したのです。このマッチングは、発注者側の課題であった「デザイナー探し」、受注者側の課題であった「集客」を解決するサービスサイトの構築によって爆発的に認知され、広まっていったと考えられています。
◆参考:クラウドソーシングとは
クラウドソーシングとは、不特定多数の人々(クラウド=群衆)に業務やアイデアをインターネット経由で募集・委託する仕組みのことです。従来は企業が外部の専門会社やフリーランスに直接発注していた作業を、オンライン上のプラットフォームを介して広く公募できる点が特徴です。
依頼される内容は、デザインやライティング、プログラミングといった専門性の高い業務から、データ入力や調査などの単純作業まで幅広く、発注者は必要なスキルを持つ人材を柔軟に確保できます。一方、受注者は自分のスキルや時間を活かして、自由に案件を選び収入を得ることが可能です。こうしてクラウドソーシングは、企業にとってはコスト削減や人材確保の手段、個人にとっては新しい働き方の選択肢として広がっています。
なおロゴ作成においては、クラウドソーシングでは大きく「コンペ方式」と「プロジェクト方式」の2種類で受発注が行われるのが一般的です。
・コンぺ方式
発注者が案件を公開し、複数のデザイナーから提案を募り、その中から気に入ったデザインを採用する仕組みです。
【メリット】多数のアイデアが集まるため選択肢が広がり、低コストで採用できる場合が多い。
【デメリット】不採用となるデザインは報酬が支払われないため、受注者側のモチベーションが低下しやすく、結果としてクオリティにばらつきが生じやすい。また、ブランド戦略や背景設計が不足し、表面的な「見た目のロゴ」に終始するケースが多い。
・プロジェクト方式
発注者が条件に合うデザイナーを選び、1対1で契約して進める仕組みです。
【メリット】受発注者間で直接やり取りができるため、企業理念やブランド戦略を反映させやすく、完成度の高いロゴにつながりやすい。
【デメリット】コンペ方式に比べて提案数は限られ、デザイナー選びを誤ると期待外れの結果になるリスクがある。また費用も相対的に高めになる傾向がある。
◆参考:スキルマーケットとは
スキルマーケットとは、 デザインやライティング、動画編集といったスキルをあらかじめ商品化し、利用者がネットショップで商品を選ぶように依頼できる仕組みのことです。ロゴ作成においては「ロゴデザイン〇〇円」「修正回数2回まで」といった形でパッケージ化されており、依頼者は価格や内容が明示された中から自分に合ったサービスを選べる点が特徴です。
この方式の利点は、まず費用と納品内容が明確であるため、初めて依頼する人でも安心して利用できることにあります。あらかじめ作業範囲や納期が定められているため、取引の流れもスムーズで、出品者の評価や実績を参考に比較検討しやすいという利便性もあります。
一方で、あらかじめパッケージ化されていることは同時に制約でもあります。たとえば「1案のみ」「修正は2回まで」といった仕様に縛られるため、細かな要望に柔軟に対応してもらえるとは限りません。また、取引の性質上、依頼者のブランド戦略や企業理念といった背景に深く踏み込むことは難しく、短期的に「形の整ったロゴ」は得られても、長期的にブランドを支えるロゴにまで設計されているとは限りません。特に低価格帯では、既存のテンプレートを流用したような、オリジナリティに乏しいロゴが納品されるケースも少なくありません。
実際にスキルマーケット内の「ロゴ作成」カテゴリでは、出品者は「基本プラン」「スタンダードプラン」「プレミアムプラン」といった形で複数の価格帯を設定し、提案数や修正回数、納品データ形式などを差別化して販売するのが一般的です。購入者側はその中から自分の予算や目的に合ったプランを選び、必要に応じて追加料金で修正回数を増やしたり、名刺やSNS用アイコンへの展開を依頼したりといったオプションを加えることも可能です。つまり、売り手は「パッケージ+オプション」でサービスを設計し、買い手は「スピード・価格・納品物」を基準に選択しているのが実態です。
| サービス名 | サービス種別 | 費用相場 | 制作依頼の方式 |
| ランサーズ | クラウドソーシング | 1万円~5万円 | コンペ・プロジェクト登録 |
| クラウドワークス | クラウドソーシング | 1万円~5万円 | コンペ・プロジェクト登録 |
| クラウディア | クラウドソーシング | 1万円~5万円 | コンペ・プロジェクト登録 |
| ココナラ | スキルマーケット | 0.5万円~3万円 | 出店者の中から見つけて依頼 |
| スキマ | スキルマーケット | 0.5万円~3万円 | 出店者の中から見つけて依頼 |
▲低価格帯における代表的なクラウドソーシング・スキルマーケットの相場一覧
中価格帯でロゴ制作を請け負うのは、一定の経験を有する中堅~熟練デザイナーです。彼らは、自身が主宰するデザイン事務所でロゴ制作の業務を受注することもあれば、制作会社やデザイン会社に所属して制作を行うこともあります。また、制作したロゴをコンテストへ応募して賞を獲得したり、一定の実力が認められなければ入会できない協会等に入会したりなど、デザインに精通していなければ判断しづらい「デザイン力」の有無を、客観的に伝える努力も積極的に行っています。
◆参考:デザイン力の有無を客観的に判断できるポイント
・コンテストへの応募による受賞歴
→グッドデザイン賞、日本タイポグラフィ年鑑、Graphic Design in Japan など
・デザイン系の協会への入会
→公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)、日本タイポグラフィ協会 など
・その他、第三者が実力を認めるもの
→教員歴、執筆実績、コンペでの受賞歴 など
また、この価格帯では依頼ルートが大きく2つあります。ひとつはデザイン事務所・制作会社・デザイン会社へ直接依頼し契約するルート、もうひとつはデザイン系の代理店を経由し依頼・契約を行うルートです。どちらに発注した方が良いかは、それぞれにメリット・デメリットがあり一概にこうとは言えませんが、ロゴのデザインクオリティだけで言えば、同じ品質でも、前者の直接依頼の方が安くなることは間違いないでしょう。
◆参考:直接依頼と代理店経由のメリット・デメリット
〇直接依頼の場合
【メリット】
コストの透明性:代理店のマージンが乗らないため、費用対効果が高い。
直接的なコミュニケーション:デザイナーと直接やり取りできるため、意図の共有や修正指示がスムーズ。
スピード感:中間工程が省かれることで、制作進行が早い。
専門性の把握:会社ごとの得意分野や過去実績を直接確認し、最適なパートナーを選べる。
【デメリット】
リスク管理の責任が発注者に集中:契約や品質保証など、トラブル発生時の対応はすべて自社で行う必要がある。
制作範囲の限定:デザイン以外の広告戦略・広報・印刷などは別の業者に個別発注が必要な場合がある。
リソース負担:発注者側がディレクション業務(要件定義・進行管理など)を担う必要がある。
〇代理店を経由して依頼する場合
【メリット】
ワンストップ体制:代理店が制作会社・印刷会社・メディアなどを取りまとめ、全体のディレクションを担ってくれる。
リスクヘッジ:納期・品質・契約などの責任を代理店が管理するため、発注者の負担が軽減される。
付加価値サービス:広告戦略、ブランディング、マーケティング全般の知見を踏まえた総合的な提案を受けられる。
複数ベンダーのコントロール:複数の制作会社を束ねて統一感を持たせる調整を代行してもらえる。
【デメリット】
コストが高くなる:代理店のマージンが上乗せされる分、同じ制作物でも直接発注より割高になる。
情報伝達の遅延リスク:発注者 ⇔ 代理店 ⇔ 制作会社という三層構造になるため、意図が正確に伝わらない可能性がある。
制作会社の選定がブラックボックス化:どの会社が実際に制作しているか不透明なことが多く、実力の確認が難しい。
柔軟性の制約:代理店の体制や進行フローに依存するため、スピードや仕様変更への対応が遅れる場合がある。
ここで、この価格帯の発注者層を見てみると、比較的資金に余裕のある起業者や、自社ロゴのリニューアルおよび新事業のロゴを検討している中小企業が多いようです。これは、しっかりしたデザインクオリティが期待でき、なおかつ依頼方法によっては低価格帯ほどではないが、リーズナブルにロゴを作れることが理由と考えられます。契約リスクをできるだけ軽減したければ代理店経由を、発注者自らが制作者の信頼性をジャッジできる目があれば直接依頼を選ぶ傾向にあるようです。
また、この価格帯における特筆すべき特徴として挙げられるのは「無料提案」「キャンセル料無料」というシステムが存在することです。
| サービス名 | 提案数と料金 | 無料提案・キャンセル料無料 |
| synchlogo (WESTFIELD Design Partners) | 1案:49,800円 2案:59,800円 3案:69,800円 (すべて税別) | あり (1案プランのみ) |
| コクリロゴ (株式会社コクリ) | 3案 38,000円(税込) | あり |
| ホタルロゴ (コネクトデザインオフィス) | ロゴタイプ3案:70,000円 シンボルマーク3案:100,000円 (いずれも税別) | なし |
| ロゴAC (アドアチーブ株式会社) | ロゴマーク2案:60,000円 ロゴタイプ2案:60,000円 (いずれも税別) | あり (ロゴマーク2案のみ) |
| ロゴオンライン (株式会社イースタンインク) | 3案:99,800円(税別) | あり |
▲中価格帯におけるロゴ作成の直接依頼が可能なデザイン事務所・制作会社・デザイン会社一覧
▲中価格帯におけるロゴ作成サービスを行っているデザイン系代理店一覧
この価格帯になると、金額が金額だけに契約リスクを重視するため、代理店経由での依頼ケースが多くなります。また、業務の発注形態も、ブランディングやトータルデザインといった大きなプロジェクト単位で行われ、ロゴはその中の1制作物という扱いになることが多いことから、ロゴ単体で制作発注されることは少ないでしょう(ちなみに本章冒頭で示した相場レンジ早見表では、ロゴ制作のみの金額を示しています)。
◆参考:ロゴ制作が超高額になる理由
ロゴ制作に100万円以上かかるなど、想像以上に高額となるのは、「絵を描く料金」ではなく、ブランドを長期的に機能させるための“設計”と“運用保証”に対するコスト分が大きく上乗せされているからです。大手や専門性の高いデザイン会社が提示する高額案件では、次のような要素が積み重なって費用が跳ね上がります。
1. ブランド戦略と意味づけの設計
単なる見た目だけでなく、企業理念や事業戦略を踏まえた「意味づけ」まで設計する必要があります。競合分析や市場調査、経営者や社員へのヒアリングを行い、ロゴを企業の象徴にふさわしい形に落とし込む作業には多大な工数がかかります。
2. クリエイティブの開発プロセス
複数の方向性を検討し、提案を繰り返しながら精度を高めていくプロセスは、時間も人手も必要です。特にオリジナルのタイポグラフィ設計や細かい調整を伴う場合、制作工数は膨大になります。
3. 運用性能の検証と保証
ロゴは「見るための絵」ではなく、名刺、看板、Webサイト、SNSアイコン、商品パッケージなどあらゆる媒体で「使える」必要があります。小さくしても潰れないか、白黒や単色で表現できるか、印刷やデジタル環境で色が再現できるか──こうした検証と改善は時間がかかり、その分コストが上がります。
4. ガイドラインの整備
作ったロゴを社内外で正しく使ってもらうために、利用ルールをまとめたガイドラインを作成します。レイアウト規定、色や余白のルール、禁止事項などを整備するのは手間のかかる作業で、これも費用の一部です。
5. 知的財産とリスク対策
商標登録を前提とした先行調査や、将来的に他社と衝突しないための検証も不可欠です。大規模な企業では法務チェックやリスクマネジメントを含めて設計するため、この部分でもコストが発生します。
6. プロジェクトマネジメント
大企業や団体案件では、関係者が多く意思決定に時間がかかります。会議や調整、進行管理のためにプロジェクトマネージャーを配置することも多く、その分の人件費が加算されます。
このように、ロゴ制作に100万円以上かかるのは、絵柄そのものの価値ではなく、調査・設計・検証・ガイドライン・法務対応・プロジェクト管理といった「見えにくい工程」が積み重なっているからです。低価格帯・中価格帯のロゴづくりは、上記工程を適宜省略し、依頼者が望む必要な検討のみを行うことで費用を抑えることが可能となっています。
そういった環境・状況により、発注者は大企業が多く、また制作者側も個人が受注することはほぼなくなり、大手の制作会社やデザイン会社が引き受けるケースが中心となるのです。有名ブランドのロゴ、メディアで広告・宣伝が頻繁に行われている商品のロゴなど、普段目にしている著名なロゴのほとんどはこういった環境で作られており、「ネット依頼先を見つけて発注する」といったロゴ制作のやり方とは少しかけ離れた世界での出来事だと考えてよいでしょう。
| 社名・サービス名 | 料金 |
| 株式会社アプリコットデザイン | 通常のロゴ制作のみ 3案:200,000円〜 ブランディング&ロゴ制作 3案:800,000円〜 |
| 株式会社ザ・カンパニー | 250,000円~(提案数記載なし) |
| 株式会社SEESAW | 3案:700,000円~ |
▲高価格帯におけるロゴ作成を行っている制作会社・デザイン会社
※高価格帯に属する制作会社・デザイン会社は、制作費を公開していることが少なく、見積もりベースとなっていることが多い。そのため、100万円以上かかるケースもあると言われているが、正確な詳細は不明である。

前章でご紹介した通り、ロゴ作成には数千円から数百万円まで、幅広い料金帯に数多くのサービスがあります。しかし依頼者にとっては選択肢が豊富である反面、どこに制作を依頼すればよいか迷ってしまうのではないかと思います。
その際の判断軸になるのは、やはり対価として提供されるロゴの品質です。ロゴデザインに限らず、どんなサービスでも品質は価格に比例するものですが、依頼者としては、「できるだけ安く、でも品質も妥協したくない」というのが本音ではないでしょうか。
しかしロゴにおいては、「安価でも良いロゴが作成できた」という例が散見されます。
インターネットで検索すると、そのような事例が多く公開されているのも事実です。
そこでこの章では、最もコスパよく作られたロゴとして最も知られているナイキのロゴ作成エピソードを例に、本当に低価格でも高品質のロゴができるかどうかについて探っていきたいと思います。

ナイキのスウッシュロゴは、1971年にわずか35ドルという低価格で制作されました。依頼先はプロのデザイン会社ではなく、ポートランド州立大学でグラフィックデザインを学んでいた大学生、キャロライン・デビッドソン。当時のナイキ(当時はブルーリボンスポーツ)は、日本メーカーの代理店から独自ブランドへの転換を模索していた時期で、資金的に余裕がなく、広告やブランド戦略に十分な予算を割ける状況ではありませんでした。
「新しいシューズに付けるマークが必要だ」という実務的な要請から、創業者フィル・ナイトは、知り合いの学生デザイナーに急ぎで制作を依頼します。結果として、デビッドソンが提示した複数案のうちから選ばれたのが、現在のスウッシュだったのです。
そして、実はその選定は決して前向きなものではなく、ナイキの公式ページには「黒歴史」として以下のように記述されています。
デビッドソンは、さまざまなバージョンのロゴを携えてプレゼンに向かった。歴史が生まれることになるプレゼン会場は、なんの変哲もないオレゴン州の小さな会議室だ。提案の中には、ただの丸か穴のように見えるシンプルな図案も含まれていた。4つの候補が次々に却下され、残ったスウッシュが渋々ロゴに採用された。決定時にナイトが発した言葉は、今でもNikeの黒歴史として語り継がれている。
「すごく気に入ったとは言えないけど、いずれ愛着が湧いてくるかもね」
フィル・ナイト
このマークは即席で「ストライプ」と名付けられ、メキシコのグアダラハラにあるシューズ工場へ送られた。ちなみに、デビッドソンは今でもスウッシュのことをストライプと呼んでいる。期限に間に合わせることが最優先だったため、ミーティング後にロゴの微調整もなかった。シューズの生産にはこれで十分だろうと、手描きスケッチのロゴを送付したのだ。
引用:https://www.nike.com/jp/a/never-done-leaving-a-mark-swoosh
この「黒歴史」とされた後の、ナイキのロゴのブランド価値向上については説明する必要はないでしょう。またこのエピソードより、ナイキのロゴは当初から「高品質のロゴ」だった訳ではなく、その後ロゴを取り巻く状況によって「品質の良いロゴへと成長していった」ことが分かるかと思います。
【ナイキのロゴ事例から分かること】
・ロゴの品質は、最初から良し悪しが判断できるものではない
・形やデザインが美しい=高品質なロゴではない
・消費者・ユーザーから愛される存在になったロゴが「良いロゴ」となる
このナイキの事例を見て、「安く作っても、時間をかければ良いロゴになるのではないか」と考える方も少なくないと思います。しかし、結論から言えばそうではありません。ロゴは、「作成費用をかければかけるほど、良いロゴになる可能性が高まる」のです。
ナイキのスウッシュが世界的に愛されるロゴに成長したのは、偶然が重なった結果と見るべきでしょう。創業者フィル・ナイト自身が「気に入ったとは言えないが、いずれ愛着が湧くかもしれない」と語っていたように、当初から高品質と評価されていたわけではありません。その後の膨大なマーケティング投資や製品戦略がロゴを押し上げたのであって、最初から“名作”として設計されていたわけではないのです。
それは、ロゴの品質が単に「見た目の美しさ」で決まるのではなく、ブランドの将来にどう貢献できるかという設計や検証の積み重ねによって決まるからです。ナイキのケースは、ブランディング設計を一切見越さず、即席で生まれたにもかかわらず、奇跡的に後の成長に噛み合った極めて稀な事例にすぎません。
一方、通常のロゴ制作では、この「偶然」に頼ることはできません。ブランドにとって長く使える旗印をつくるには、多くの工程が必要です。たとえば、
・競合や市場を調査し、差別化できる条件を見極めること
・企業理念や事業戦略と整合するコンセプトを設計すること
・複数案を比較検討し、ステークホルダーの意見を反映すること
・名刺、Web、看板、SNSなどあらゆる媒体で視認性を検証すること
・商標調査を行い、権利リスクを回避すること
・aiデータやガイドラインを整備し、長期的な運用を支えること
これらの工程を省略すれば、確かに制作費は安く済みます。ナイキもそうして35ドルという低価格の制作費用を実現したのではないかと考えられます。しかしその分、ロゴがブランド価値を十分に支えられず、短期間で作り直しを迫られるリスクも高まります。
つまり、ロゴ制作費に投資することは「デザインそのもの」に支払うのではなく、「ブランドの将来に貢献できるロゴを担保するためのプロセス」に支払っているということです。ナイキのような偶発的成功は再現性がなく、むしろ大半の企業にとっては、しっかりと費用と時間をかけることで“良いロゴになる可能性”を高めることが、最も合理的な選択だと言えるでしょう。
2章では「低コストで作られたにもかかわらず成功したロゴ例」として、ナイキのロゴを紹介しました。しかしあのエピソードは、多額の広告投資と戦略的なブランド構築が後から加わったことで成立した“偶然”と“例外”が重なった結果であり、決して「低価格でも良いロゴは作れる」このとの証明ではないのです。
とはいえ、「ではロゴ作成の費用はどれくらいが適正なのか?」「その判断基準は何か?」という問いは残ります。実際、見積金額だけを見ても、高いのか安いのか判断できない、というのが多くの依頼者の本音ではないでしょうか。
その答えを見極める方法が、ひとつだけあります。
それは、「費用対効果で考える」という視点 です。
ロゴを作る理由は企業・ブランドによって異なります。「信頼感を持たせたい」「覚えられたい」「社員の士気を上げたい」など、複数の目的が同時に存在するケースも珍しくありません。
そして、その目的にどれだけ応えられたかによって、同じ制作費でも「高い」と感じるか「安い」と感じるかが変わります。つまりロゴの価格は、出来上がった見た目そのものではなく、ブランドにどれだけ貢献したか──その費用対効果で評価されるべきものなのです。
本章では、この「費用対効果」という視点からロゴの価値をどのように見極めるべきか──
その判断軸と考え方について掘り下げていきたいと思います。
ロゴ以外のデザイン・制作物は、完成したその時の見た目の良さ、すなわち「瞬間的な価値」を重視する傾向があるのに対し、ロゴには、ブランドへの貢献という長期的に効果をもたらす「持続的な価値」が重要視されるという特徴があります。つまり、作ってもすぐに結果が出る類のデザインではないため、ロゴ作成はある種の「投資」だと考えるべきなのです。
そしてその投資の結果としてロゴがもたらす効果は、数値など目に見えるものではなく、非常に測りにくいものです。しかし、効果の種類についてははっきりしており、大きく次の4つに分類することができます。
①認知効果:ロゴが“覚えられやすい”理由と、広告費削減につながる仕組み
ロゴには、企業やサービスの存在を人々の記憶に刻み込む「視覚的な記号」としての役割があります。
人は言葉よりも形を記憶しやすいため、ブランド名を覚えていなくても、ロゴを見れば「どこかで見たことがある」と直感的に思い出せることがあります。この「思い出してもらいやすくする」働きを、ここでは認知効果と呼びます。
そしてこの認知効果は、一度適切に設計されたロゴがあれば、日常のあらゆる接点で自動的に蓄積されていくという特性を持っています。名刺、Webサイト、SNSアイコン、店舗サイン、商品パッケージなど、ロゴは能動的に宣伝しなくても、接触するほどに記憶の層を積み重ねていきます。言い換えるなら、ロゴは“広告しない場面でもブランドを宣伝し続ける装置”として働くのです。
一方、この認知効果をロゴ以外の方法で得ようとすると、費用は一気に跳ね上がります。初めての顧客に「覚えてもらう」ためには、テレビCM・交通広告・SNS広告・イベントなど、継続的な出稿が必要となり、認知を買い取るための広告費は、企業の負担として重くのしかかります。
しかしロゴであれば、一度設計してしまえば長期的に使い続けることができ、覚えてもらうためのコストを圧倒的に低く抑えることができます。つまりロゴは、広告費の一部を肩代わりしてくれる資産だと言えるでしょう。
実際の例として、2022年に「東急ハンズ」が「ハンズ」へと屋号を変更し、ロゴを刷新した際には、ロゴの変更そのものがニュースとしてメディアに取り上げられ、SNSでも自然に話題化しました。追加の広告出稿を増やすことなく、ロゴをきっかけにブランドが再認知されていった形です。

つまり、ロゴは「覚えてもらうための費用対効果が高い投資」であり、企業の認知を長期的に支え続ける資産となるのです。
②信頼・安心感:ロゴは「疑われない状態」をつくり、機会損失を防ぐ
ロゴは、企業やサービスに対して「この会社は信用できるか」を判断する最初の視覚情報になります。
人は中身を理解するより先に、見た目から印象を形成するため、ロゴが整っていないだけで「怪しい」「不安」「品質が低そう」と判断されてしまうことがあります。ここで重要なのは、ロゴは「良く見せるための装飾」ではなく、疑われない状態をつくるための“前提条件”だという点です。
どれだけ中身が良くても、入口が弱ければ「比較検討の土俵」に乗る前に外されてしまいます。
問い合わせが来ない、商談に進めない、採用応募が集まらない──
ここで起きているのは、評価が低いのではなく、評価の機会が与えられていないという「機会損失」です。
この「疑われない状態」をロゴ以外で補おうとすると、途端にコストは跳ね上がります。実績を積み上げるには年単位の時間がかかり、口コミや紹介に頼るなら人間関係の維持が必要です。PR・認証取得・店舗内装などで信頼を担保する手段もありますが、どれもコストや運用負担が大きいものです。ロゴを整えずに信頼を得るほど、費用も時間も増えていくという構造はここにあります。
一方で、ロゴは一度設計すれば、名刺・Webサイト・SNS・看板など、あらゆる接点で常に同じ「信頼の入口」を提供できます。つまりロゴは、「中身を見てもらうための機会」を損なわないための、最も費用対効果の高い手段なのです。
この「機会損失を防ぐ」という観点では、フリマアプリ「メルカリ」は分かりやすい例です。個人間取引には「だまされるかもしれない」という不安が前提にありますが、メルカリは、親しみやすく明るいロゴやUI設計を通じて、「ここなら取引しても大丈夫そうだ」という心理的な安心感を最初の段階で提供しました。この「入口の安心」があったからこそ、ユーザーはアプリを使うという“行動”に踏み出すことができ、不安によって起こるはずだった機会損失を最小化したと言えるでしょう。

ロゴは、価値を伝える前に「まず見てもらうための条件」を整えるものです。入口が整っていなければ、中身は評価されません。だからこそ、信頼はロゴから始まるのです。
③差別化・競争優位性:ロゴは「アイデンティティ」を可視化し、選ばれる理由をつくる
ロゴは、同じ市場において「なぜそのブランドを選ぶのか」という理由をつくります。商品やサービスの機能、価格、提供体制が横並びになってくると、最終的に比較されるのはその会社が何を大切にしているかという根幹の部分です。それは、ブランドの理念・思想・哲学などと呼ばれるものですが、総じて「アイデンティティ」と言い換えても差し支えないと思います。
ユーザーは、合理的な比較だけで商品を選ぶわけではありません。「自分はどちらに共感できるか」「どの価値観に近いか」という判断が働きます。そのためロゴは、企業が大切にしている価値観を最も圧縮して示す記号として、共感の入口をつくる役割を担います。
もし、この「アイデンティティ」をロゴ以外で伝えようとすると、広告やPR、ストーリーブランディング、店舗設計、UI/UXなど、膨大な費用と時間が必要になります。つまり、アイデンティティの共有は本来重いコストがかかる行為なのです。
一方でロゴは、それを視覚だけで瞬時に提示することができる唯一の装置です。だからこそ、差別化が困難な市場でこそ、ロゴは競争優位性に直結します。
この点が顕著に現れているのが、三井不動産のロゴ刷新です。
不動産ディベロッパー業界は、商品(建物)・価格・実績・規模が横並びになりやすく、また多くの大手企業は親会社(財閥・電鉄系)のロゴをそのまま使用したり、自社独自の思想が見えにくい「イニシャル型ロゴ」に留まっています。

その中で三井不動産は、「人と社会と未来を、持続的に結び続ける」という理念を再定義した上で、その思想 ロゴそのものに込めて再設計しました。このロゴは、単なる見た目の変更ではなく、“私たちは何を優先し、どこへ向かう企業なのか” を示すシンボルとして機能しています。
つまり、ロゴは「競合と比較されるための印象づくり」ではなく、比較されない“自分の土俵”をつくるための象徴なのです。
④内部浸透・モチベーション:ロゴは「同じ組織に属している」という共通の拠りどころになる
ロゴは対外的にブランドを示す記号であると同時に、同じ組織に所属する人同士をつなぐ“印”のような役割も持っています。たとえば、家に「家紋」があるように、学校に「校章」があるように、ロゴは 「自分たちは同じグループに属している」ということを、言葉を使わずに共有するためのシンボルです。
人は、仕事をしていく中で、「自分ひとりで動いているのではなく、誰かと一緒に進んでいる」と感じられると、自然に安心し、前向きに行動できます。ロゴは、そのための共通の拠りどころになるのです。
ロゴが整っていると、次のような状態が生まれます。
これは特別な熱量や精神論ではなく、「共有できる形がある」というだけで生まれる、ごく自然な士気の高さです。
逆に、ロゴが曖昧だったり、個々人の解釈に委ねられていたりすると、同じ組織内であっても、「自分は何を背負って働いているのか」が曖昧になります。その結果、判断や行動にバラつきが生まれ、内部に一体感が生まれにくくなることに繋がるかもしれません。
もちろん、理念浸透・文化形成を研修や制度だけで進めることもできますが、それらは運用コストが高く、継続が必要です。ロゴは、それらを目に見える形で常に思い出せるようにしてくれる“最短の手段”だといえるでしょう。
ロゴは、仲間であることを確認できる「印」です。家紋や校章がそうであるように、ロゴは、特別に意識しなくても、日々の行動に自然と一体感をつくります。
ロゴ作成がもたらす効果を、4つに分類して説明いたしましたが、ロゴを作ればこれらの効果がすべて得られる、という訳ではありません。それぞれの効果がきちんと発揮されるよう、適切なプロセスを経てデザインしていくことが重要です。そのためには、求める効果ひとつひとつに対して、調査・コンセプト設計・各方面からの意見聴取など、求める効果ごとに行うべきことを定め、丁寧に積み上げていく必要があります。
たとえば「認知効果」を狙うなら、まず市場調査やターゲット分析を行い、どのような形や色が人の記憶に残りやすいかを検証しなければなりません。「信頼・安心感」を重視するなら、企業理念や事業内容との整合性を保ち、視覚的に誠実さを伝えるトーン設計が求められるでしょう。「差別化・競争優位性」を生み出すには、競合ロゴの徹底的な比較分析を行い、自社らしさを抽出するクリエイティブな検討が必要です。そして「内部浸透・モチベーション」まで視野に入れる場合は、社内ヒアリングやブランドガイドライン整備といった、運用面の設計も必要になります。
こうした工程をすべて丁寧に踏むほど、関わる人員や検証回数は増え、当然ながら制作費用は高くなっていきます。しかしそれは「デザイン料金が高い」というよりも、「多面的な効果を確実に得るための投資額」が上乗せされているということです。
つまり、ロゴ作成の費用が高額になる理由は、単に時間や工数がかかるからではなく、複数の効果を一つのデザインに統合し、長期的に機能するロゴとして設計するためだと考えられます。
どの効果をどこまで求めるか──その判断こそが、依頼者にとっての「適正価格」を決める分岐点になるのです。
ロゴを作成する際、多くの依頼者が「どうせ作るなら、すべてを満たしたい」と考えがちです。認知、信頼、差別化、内部浸透──これら4つの効果をすべて最大限に引き出そうとすれば、当然ながらその分プロセスが増え、費用も膨らみます。
しかし、すべての企業にそれら4つの効果が同じ比重で必要なわけではありません。たとえば、創業初期のスタートアップに最も重要なのは「認知効果」かもしれませんし、老舗企業であれば「信頼・安心感の維持」の方が優先されるでしょう。また、採用活動を強化したい会社なら、「内部浸透」や「理念共有」のためのロゴが最も費用対効果を発揮します。
つまり、ロゴ作成において大切なのは、“どの効果を最優先で得たいのか”を明確にすることです。この判断があいまいなまま依頼してしまうと、デザイナー側も狙いを定めきれず、結果的に「何を目的に作ったロゴなのか」が曖昧なまま高額な費用だけがかかってしまいます。
逆に、目的を明確にし、得たい効果を絞り込めば、ロゴ作成は驚くほど効率的になります。調査や検証の範囲が明確になり、必要な工程に絞った合理的な設計が可能になるからです。デザインとは、闇雲に手を加えることではなく、求める価値に最短でたどり着く設計行為なのです。
「適正な価格」とは「適正な価値」なのです。
過剰な価値は不要なので、その見極めをすることが、コスパよくロゴを作る秘訣だと言えるでしょう。
現在のロゴ制作は、その過程にある程度「型」や「セオリー」というものが確立されており、相場が低価格になりつつあるロゴデザインにおいては、その型やセオリーを無視してロゴが作られているケースもしばしば見られます。前章で、見積もり金額から推定制作時間を求め、「この程度の制作時間でできることは限られている」という分析例をいくつかご紹介いたしましたが、そういったことがいま実際起きているのです。
もちろんむやみに時間をかければ良い、という訳ではありません。しかしロゴ制作には、「少なくともこれはやっておかなければならない」というポイントがいくつかあります。それを無視して作ると、ロゴは単なる思い付きのデザインに成り下がり、中身がスカスカの表面的な部分だけ整えられたものが出来上がってしまいます。
そこでここでは、ロゴ制作工程の内容が相場にどれくらい左右されているものなのか、一般的な工程の段階ごとに紹介していきたいと思います。
【一般的なロゴ制作工程】
①ヒアリング
②調査
③コンセプト作成
④デザインの方向性検討
⑤デザイン提案の作成
⑥説明・プレゼンテーション
⑦デザインの修正や調整
⑧ロゴレギュレーション(使用ガイドライン)の作成
⑨納品データ作成
①ヒアリング
依頼者に質問し、ロゴデザインに必要な情報を収集する工程で、デザインのきっかけを掴むものとして欠かせないものです。ここで得られる情報の量と質が、後の「コンセプト作り」「デザインの方向性検討」の充実度にも影響してきます。
例として、synchlogoがヒアリング時に行う質問内容を紹介いたします。
質問内容は案件の内容や性質にもよりますが、必ず行う質問は以下の通りです。
・概要
・エピソード
・特化ポイントや差別化ポイント
・名称の由来
・ロゴで誰にどんな印象を与えたいか
・希望するロゴの種類(ロゴマーク or ロゴタイプ)
・希望のデザインイメージ
・取り入れたいモチーフや形、色など
・ロゴの用途、使用シーンや環境
ヒアリングは通常対面もしくはオンライン会議による打ち合わせ形式で行われます。言葉にするのが難しいイメージ的な話や、議論によって初めて導き出される事柄など、顔を突き合わせなければ得られないものもたくさんあることから、メールやチャットといったテキスト形式のやり取りだけで済まさない方が良い結果が得られます。
中間相場・高相場のロゴ制作におけるヒアリング内容は一定水準の量や質が期待できます。その中でも高相場のロゴ制作では、かなりの時間をかけてヒアリングを行うことが多く、ヒアリングするのはデザイナーではなく、ディレクターと呼ばれる制作をマネジメントする立場の人間が、第三者的な立場で客観的に行うこともしばしばあります。
一方、低相場のロゴ制作におけるヒアリング内容は、短時間でロゴを仕上げようとするあまり、ロゴの形やデザインに直接関わるような質問しかしないことも見受けられます。たとえば、「ロゴの形は丸がいいですか?四角がいいですか?」といった、本来デザイナーが検討すべき内容を、発注者に決めさせてしまうようなこともあるほどです。
| 低相場 | 中間相場 | 高相場 |
| △ | 〇 | ◎ |
②調査
同じ業種や業界など、同カテゴリーではどんなロゴが作られているかを調査する工程です。オリジナリティあるロゴをデザインし、競合との差別化を図ることを目的に行われます。
特に、ロゴの商標登録(図形商標)を予定している場合では、出願する前に商標登録されているロゴを調査する必要があります。それを怠り、仮に特許庁に登録が認められなかった場合は、また一からロゴを作り直さなければならなくなるので注意が必要です。
調査の方法としては、インターネットで検索するなどが一般的ですが、商標登録の予定がある場合は、一度仮案を作ってから図形商標のチェックを行います。図形商標のチェックは専門の知識が必要であることから、外部の図形調査会社に依頼した方が良い場合が多いです。
中間相場・高相場のロゴ制作で行われる調査は、一通り大切なポイントを抑えた内容が期待できます。また、過去の実績が多いところは、扱ったことのある業界・業種によっては既知である場合もあるため、通常よりも深い調査内容となることがあるでしょう。
低相場のロゴ制作では、省力化をしようとするあまり、調査は全くやらないということも見受けられます。調査を怠ると、同業・同種のロゴのデザインと差別化が図れなくなり、最悪の場合、似通ったものが偶然できてしまうことも考えられるため、注意が必要です。
| 低相場 | 中間相場 | 高相場 |
| ×~△ | 〇~◎ | 〇~◎ |
③コンセプト作成
ヒアリング・調査の結果を踏まえて、ロゴのデザインコンセプトを検討し、設定していく工程です。何を目的にデザインするか、何の課題に応えるデザインとするかなど、デザインの方向性を決めるきっかけ作りのためにも必要なも工程になります。
コンセプトは、「清潔感のあるデザイン」など具体的なデザインイメージを言語化する場合もあれば、「清潔さをアピール」など目的のみを示したフレーズにする場合もあります。それは、案件の内容や性質に合わせるようにすればよく、こうしなければいけないといったルールめいたものはありません。
大切なのは、発注者とデザイナーが「この方向に向かってデザインしていく」という意思統一が行えるものを作るということです。この段階ではまだ具体的な形や色が見えている訳ではないですが、何を目的にデザインするのか、ロゴを見てどんな風に感じてもらいたいかなどの共通認識を作るのがこの工程の一番の目的になります。
中間相場・高相場のロゴ制作で行われる調査は、一通り大切なポイントを抑えた内容が期待できます。また、過去の実績が多いところは、扱ったことのある業界・業種によっては既知である場合もあるため、通常よりも深い調査内容となることがあるでしょう。
低相場のロゴ制作では、省力化をしようとするあまり、調査は全くやらないということも見受けられます。調査を怠ると、同業・同種のロゴのデザインと差別化が図れなくなり、最悪の場合、似通ったものが偶然できてしまうことも考えられるため、注意が必要です。
| 低相場 | 中間相場 | 高相場 |
| ×~△ | 〇~◎ | 〇~◎ |
④デザインの方向性検討
設定したコンセプトを踏まえ、デザインの方向性を検討していく工程ですが、多くのデザイナーはラフスケッチなど、実際手を動かしながら検討することが多いです。
ひとつのコンセプトでも、表現の仕方によってデザインは異なるものをいくつも作ることができ、どの方向性のデザインが最も適しているか比較しながら検証するのがこの工程の目的です。ラフスケッチでそれを行うのは、短時間で多くの比較検証が行えるためで、手を動かしながら提案候補になりそうなデザインの方向性を探すことで、作業の効率化が図れているのです。
ですのでこの工程では、どれだけのデザインアイデアをひねり出すことができるかが大切になります。アイデアの数が出れば出るほど、比較検討が充実したものになるため、時間の許す限りじっくり検討するのが良いでしょう。
そしてこの段階でデザインの方向性をひとつに絞り込む必要はなく、特に優れている方向性をいくつかピックアップして、次の工程に移れればよいでしょう。
中間相場・高相場のロゴ制作で行われる調査は、一通り大切なポイントを抑えた内容が期待できます。また、過去の実績が多いところは、扱ったことのある業界・業種によっては既知である場合もあるため、通常よりも深い調査内容となることがあるでしょう。
低相場のロゴ制作では、省力化をしようとするあまり、調査は全くやらないということも見受けられます。調査を怠ると、同業・同種のロゴのデザインと差別化が図れなくなり、最悪の場合、似通ったものが偶然できてしまうことも考えられるため、注意が必要です。
| 低相場 | 中間相場 | 高相場 |
| ×~△ | 〇~◎ | 〇~◎ |
⑤デザイン提案の作成
検討したデザインの方向性をもとに、依頼者に提案するデザイン案を作成していくのがこの工程です。
ラフスケッチをもとにイラスト作成ソフト(Adobe Illustratorなど)でデザインを仕上げていく訳ですが、必ずしもスケッチ通りのデザインになるとは限りません。もちろんスケッチの制度が高い場合は、それをトレースしただけで仕上がることもありますが、仕上げている最中にも新たなアイデアが思い浮かび、ソフト上でデザインがブラッシュアップされていくことも珍しくないのです。
出来上がった提案デザインは、コンセプトやデザイン説明などとともに提案資料としてまとめていきます。それぞれの案件の内容や性質も踏まえ、提案したい内容が最も伝わる方法で資料は作成されていきます。
中間相場・高相場のロゴ制作で行われる調査は、一通り大切なポイントを抑えた内容が期待できます。また、過去の実績が多いところは、扱ったことのある業界・業種によっては既知である場合もあるため、通常よりも深い調査内容となることがあるでしょう。
低相場のロゴ制作では、省力化をしようとするあまり、調査は全くやらないということも見受けられます。調査を怠ると、同業・同種のロゴのデザインと差別化が図れなくなり、最悪の場合、似通ったものが偶然できてしまうことも考えられるため、注意が必要です。
| 低相場 | 中間相場 | 高相場 |
| ×~△ | 〇~◎ | 〇~◎ |
⑥説明・プレゼンテーション
作成した提案資料を使って、発注者にデザインや提案内容を発表・説明する工程です。
ヒアリング同様、対面もしくはオンライン会議で発表・説明を行うことが望ましいですが、発注者側のスタンスによっては資料のみを受け取るという場合ももちろんあります。
デザインや提案がいかに良くても、プレゼンテーションが上手くないと、内容が十分に伝わらないといったことも起こり得るのです。いくつもの工程を経て、ようやくお披露目をする訳ですから、ここまでの苦労が台無しにならないように準備することが大切になります。
中間相場・高相場のロゴ制作で行われる調査は、一通り大切なポイントを抑えた内容が期待できます。また、過去の実績が多いところは、扱ったことのある業界・業種によっては既知である場合もあるため、通常よりも深い調査内容となることがあるでしょう。
低相場のロゴ制作では、省力化をしようとするあまり、調査は全くやらないということも見受けられます。調査を怠ると、同業・同種のロゴのデザインと差別化が図れなくなり、最悪の場合、似通ったものが偶然できてしまうことも考えられるため、注意が必要です。
| 低相場 | 中間相場 | 高相場 |
| ×~△ | 〇~◎ | 〇~◎ |
⑦デザインの修正や調整
デザイナーのこだわりや、発注者の意見・感想を取り入れるなどして、デザインの完成度をより上げていくための工程です。イラスト作成ソフト上で修正・調整しますが、時には比較案をいくつか作り、最良のデザインを判断する場合もあります。
修正・調整するのは主にディテールや色で、この段階でデザインを大きく変えるようなことは行いません。もし変えるような事態になった場合は、③~⑤の工程に戻って再度デザイン提案を作り直すことになるでしょう。
修正・調整は、よりコンセプトに沿ったデザインになるように、またよりデザインの方向性が明確になるように進めていきます。デザイナーのこだわりが強く出る場面ですが、独りよがりなものにならないよう発注者の意見・感想にも耳を傾けるなど、この段階でもしっかりと対話しながら作っていくことが重要となります。
中間相場・高相場のロゴ制作で行われる調査は、一通り大切なポイントを抑えた内容が期待できます。また、過去の実績が多いところは、扱ったことのある業界・業種によっては既知である場合もあるため、通常よりも深い調査内容となることがあるでしょう。
低相場のロゴ制作では、省力化をしようとするあまり、調査は全くやらないということも見受けられます。調査を怠ると、同業・同種のロゴのデザインと差別化が図れなくなり、最悪の場合、似通ったものが偶然できてしまうことも考えられるため、注意が必要です。
| 低相場 | 中間相場 | 高相場 |
| ×~△ | 〇~◎ | 〇~◎ |
⑧ロゴレギュレーション(使用ガイドライン)の作成
レギュレーションとは使用ガイドラインのことで、ロゴが使用媒体にしっかりと映えるよう、余白の大きさや背景色といった使用環境を制限したり、サイズや色といった使用バリエーションを規定したりするものです。
また、制作したデザイナー以外の手によってロゴが編集されることがある場合、本来の意図とは異なる編集をされないようにしたいのであればレギュレーションは作っておいた方が良いでしょう。
ただし発注者がその意図を理解しているのであれば、編集のコントロールをすることは決して難しいことではないため、レギュレーションは必ずしも必要なものではないという考え方もあります。
中間相場・高相場のロゴ制作で行われる調査は、一通り大切なポイントを抑えた内容が期待できます。また、過去の実績が多いところは、扱ったことのある業界・業種によっては既知である場合もあるため、通常よりも深い調査内容となることがあるでしょう。
低相場のロゴ制作では、省力化をしようとするあまり、調査は全くやらないということも見受けられます。調査を怠ると、同業・同種のロゴのデザインと差別化が図れなくなり、最悪の場合、似通ったものが偶然できてしまうことも考えられるため、注意が必要です。
| 低相場 | 中間相場 | 高相場 |
| ×~△ | 〇~◎ | 〇~◎ |
⑨納品データ作成
ロゴは使用方法を想定し、様々なデータ形式で納品されます。大きさを変えたり、印刷物にレイアウトしたりなど、編集を伴う使い方をすることが多いため、編集可能な元データであるaiデータが最も必要とされるデータ形式です。
また発注者自身がパソコンで文章や資料を作成する際にロゴを使う時は、汎用的な
画像データがあると便利なため、jpgデータも納品されることが多いです。
さらに最近では、WebサイトやSNSなど、インターネット上でロゴを使用するケースも多くなってきたことから、背景が透過させられる画像形式であるpngデータが必要とされることも増えています。
そのほか、同じくインターネットで使用するファビコン用にsvgデータやicoデータが求められることもありますが、ケースとしては少ない方です。
しかしそれ以前に、発注者の中にはパソコンが使えない、データの取り扱いに詳しくない人もいます。そういった場合はロゴをどのように使うかを確認した上で、発注者の負担にならないような納品データの作り方をし、時にはデータの扱い方を一から説明するなどのサポートも必要になってくるでしょう。
納品データについての差は、高相場・中間相場・低相場の間でほとんどなく、まれに低相場でaiデータの譲渡をオプションとしていることがあるくらいです。それは、納品データは作るのにさほど時間がかからないため、ロゴ制作費・作成費用の相場にあまり影響していないからだと思われます。
| 低相場 | 中間相場 | 高相場 |
| △~◎ | ◎ | ◎ |
| 低相場 | 中間相場 | 高相場 | |
| ①ヒアリング | △ | 〇 | ◎ |
| ②調査 | ×~△ | 〇~◎ | 〇~◎ |
| ③コンセプト作成 | ×~△ | 〇 | ◎ |
| ④デザインの方向性検討 | △~〇 | 〇 | ◎ |
| ⑤デザイン提案の作成 | △~〇 | 〇 | 〇~◎ |
| ⑥説明・プレゼンテーション | △ | 〇 | 〇~◎ |
| ⑦デザイン修正や調整 | △~〇 | 〇~◎ | ◎ |
| ⑧ロゴレギュレーションの作成 | × | △~〇 | ◎ |
| ⑨納品データ作成 | △~◎ | ◎ | ◎ |
ロゴデザインにおいて、完成したロゴを評価するポイントとして最も重要なのは意匠性(見た目の良さ)です。しかし、実はそれ以外にもロゴとして評価すべきポイントはいくつもあり、人によっては意匠性よりそちらを重要視する場合すらあります。どのようなものがあるか見ていきますと、
・オリジナリティを感じさせるロゴデザイン
・ブランディングに寄与するロゴデザイン
・自由に使えるロゴデザイン
・長く使い続けられるロゴデザイン
・話題性のあるロゴデザイン
などが挙げられます。
このように、意匠性以外で評価すべきポイントというのは、ロゴが本来持つ機能や役割に関わるものが多く、使用するシチュエーションが具体的に想定できていれば、どれも見逃せないポイントであることが分かると思います。
では制作者は、果たしてこれらのポイントをきちんと想定した上でロゴをデザインしているのでしょうか。結論から言うと、ロゴ制作を依頼した際の金額、すなわち相場によって差が出てきます。ロゴデザインとして必要最低限の仕事は「ロゴ」という意匠を作ることです。ですので上記に列挙したようなことはあくまで「付加価値」となり、そこにどれだけお金をかけるかという話になってくるでしょう。
昨今は巷にデザイナーが溢れており、見た目が良いだけのロゴであれば、数千円出せば誰に頼んでもある程度のものは出てくるでしょう。クラウドソーシングやスキルマーケットの躍進がそれを裏付けています。しかし予算に余裕があり、本物のロゴ作成を目指している発注者にとって、見た目が良いだけのロゴなどは物足りなさしか感じないはずです。ロゴという制作物の真価は、見た目以外の部分でどれだけの働きを見せるかにかかっています。それを理解し、期待している発注者も世の中にはたくさんいる訳で、その期待に応えられる制作者は当然今後も必要になってくるでしょう。
そこでここでは、そういった発注者の方々のために、どのあたりの相場であれば付加価値のあるロゴを作ってもらえそうかを紹介していきたいと思います。低相場・中間相場・高相場の制作者が、上記列挙した付加価値についてどのような姿勢で取り組んでいるかを解説してまいります。
会社やお店、商品やサービスにおいて、競合が多い場合様々な方法で差別化を図ろうとしますが、ロゴもその手段のひとつでしょう。ただ内容やコンセプトなど、訴求したいポイントが競合と同じであった場合、その訴求ポイントをロゴにデザインしようとすると、似たような方向性のデザインになってしまいがちです。このような時、ロゴデザインは意匠性よりも唯一性、すなわちオリジナリティを感じさせることの方が重要度が増してくる訳です。
オリジナリティを感じさせるためには、他にはない「何か」が備わったデザインにしなければなりません。それはモチーフや表現方法、デザインテイストなど、方法はたくさんあります。しかしその「何か」は、当然他者に取り入れられていないものにしなければなりません。たとえば、「あたたかさ」「明るさ」「育み」がブランドイメージのロゴを作るとします。その場合、そのブランドイメージを最も分かりやすくロゴで表現するためには、誰でも連想しやすく、オーソドックスなモチーフを用いたくなると思います(「太陽」など)。しかしそういったオーソドックスなモチーフを用いることは、ロゴを見る人に狙った通りのイメージを掴んでもらう最適な手段である一方、既に他者が使っている可能性も非常に高くなります。
そこで重要になってくるのは、デザインを行う前に「調査」を行うことです。競合がどのようなロゴにしているか、またどんなイメージをどういった方法でロゴに表現しているかを調べ、まだ使われていないデザインの方向性を見つけなければなりません。つまりオリジナリティはある種椅子取りゲームのようなもので、オーソドックスなデザインほど早く取り入れられてしまいがちな訳です。そのため成熟した業界やジャンルほどそのデザインの空席を見つけるのは難しく、満席の場合は自分で新しい席(=新しい視点でのデザイン)を生み出さなければなりません。オリジナリティ=制作者のセンスや思い付きと思われがちですが、実はそうではなく、実際は地道な調査の積み重ねによって実現しているものなのです。
そうすると、先述の通りできるだけ作業の省力化を図りたい低相場の制作者などは、まっとうな調査を行う余裕がないため、ユニークな形や奇抜な色・モチーフなどによってオリジナリティを出そうとしがちになります。デザインの空席を見つける手間を省いている訳です。では中間相場の制作者はどうかというと、調査にかけられる時間が潤沢にある訳ではないでしょうが、過去の実績が多い制作者であれば、その経験が勘所となり、短期間でオーソドックスなデザインの空席を見つけ出すことができると考えられます。なお、言うまでもなく高相場は、かけられる労力に余裕があるため、人海戦術などで充実した調査を行うことが容易にできるでしょう。
ブランディングとは、ターゲットに対して企業や商品、サービスの価値やイメージを認知してもらうために行うブランドづくりのことです。デザインが主となるヴィジュアルだけでなく、キャッチコピーや販売スタッフの所作なども含む、売り方や広め方に関わるすべての要素に対して統一感・一体感が生まれるよう、一貫した思想の下で戦略が練られていきます。
ロゴはそうした大きな取り組みの中ではほんのわずかな1パーツでしかない訳ですが、そのデザインが戦略に沿うものになっていないと、統一感・一体感が損なわれ、時には全てを台無しにしてしまうおそれもあるのです。また、「ロゴはブランドの顔」と呼ばれることもあり、位置付けによってロゴはブランディングの要になることもあります。たとえば、ロゴで決めた色や意匠性が、その後作られる制作物すべてに影響を与えることもあるのです。このように、ブランディング戦略が設定されている場合、ロゴは意匠性の高さより、いかにそれに寄与できるかの方が重要になってきます。
ブランディング戦略がきちんと出来上がっていて、ロゴに関しても色や目指すべき雰囲気、デザインの方向性などがある程度定められている場合であれば、ロゴもそれに沿ってデザインすればよく、相場の高さがブランドへの寄与度に影響することなくロゴを作ることができます。しかしそのブランディング戦略が具体性の薄いものであった場合、ロゴ制作の過程で同時にブランドデザインのためのルールづくりを行う必要性に直面するようになるでしょう。しかし低相場の制作者は、そこまでを考える高い意識は持ち合わせてはいないため、単にロゴのみのデザインとして取り組むことしか期待できず、ブランディングへ寄与するようなことはほぼないと考えられます。中間相場の制作者であれば、トンマナ設定やレギュレーションづくりといった、確立された手法に基づいたブランディングへの寄与はある程度期待できると思います。高相場においては、「ロゴはブランドづくりの手始め」と考えている制作者も少なくなく、ロゴデザインに着手する前に、当然のようにブランディング戦略の立案から取り掛かるケースもあるでしょう。
ロゴは、名刺・封筒・パンフレット・看板・Web・パッケージ・チラシ・紙袋など、人の目に触れるありとあらゆる場所やツールに使われます。そのためロゴを使う際のサイズや色などできるだけ自由である方が使いやすく、これらの使用方法をルール化したトンマナやレギュレーションを定めても、その下地となるブランディング戦略がきちんと練られてなければ、そのルールは上手く機能しないものです。
たとえば美しい金色のロゴを作ったとしても、それは背景が黒などの暗色環境でしか見映えがしないため、普通の白い背景では使いにくくなるでしょう。また他にも、凝った模様や複雑な形をしたロゴなどは、名刺やWebのファビコンなど、小さいサイズで使用すると、その模様や形は全く認識できなくなります。つまり、どんなにデザインが優れたロゴでも、使用環境が限定されると、それは「使いにくいロゴ」になってしまう訳です。
ロゴは、視認性(見つけやすさ)、可読性(読みやすさ) 識別性(区別のしやすさ) 誘目性(目立ちやすさ)、明視性(理解のしやすさ)が基本的に必要な機能だと言われており、それらの水準が満遍なく高ければ高いほど、使用環境を選ばない、自由に使えるロゴデザインになるのです。ではその水準を上げていくためにはどうすればよいかと言うと、ロゴの使用シーンをできるだけたくさん想定し、制作過程でそれをひとつひとつ検証するという地道な作業を行うしかありません。そのトライ&エラーの繰り返しによってデザインが最適化され、どんな使用環境にも耐えうるロゴが完成するのです。
ではその作業をすべての相場の制作者が行っているかというと、そんなことはありません。低相場の制作者は、その検証の意義をあまり深く理解しておらず、白と黒2色程度の背景色検証、また印刷も行わずモニター上での視認確認程度のサイズ検証しか行わないことが多いです。中間相場はその検証作業もマニュアル化されていることから、複数色の背景色検証や印刷でのサイズ検証もある程度行われています。高相場になると、それらの検証作業にもしっかりと時間がかけられ、最も高い水準だとモックアップなどを実際の使用環境に近い状態を作り上げて検証することもあります。
デザインは時代によって良いとされる評価の基準が変わるもので、たとえば昭和の頃に流行ったデザインも、令和の今では「古臭い」とされてしまうものです。ロゴにおいてもそれは同じで、当初は50年、100年使うつもりであっても、時代や流行と照らし合わせて、その時々に合ったロゴへとガラッとデザインを変更することも珍しくありません。しかし中には実際50年、100年と使い続けられているロゴも存在します。ではこれらはなぜ使い続けることができているのでしょうか。
一つ目に挙げられるケースとして、極力シンプルな形でデザインしていると、長く使い続けられる傾向にあります。有名なところでは、ナイキのロゴが実例として紹介できるでしょう。「NIKE」の字体は時代とともに変わってはいますが、「スウィッシュ」と呼ばれる、勝利の女神ニケ(NIKEの社名の由来にもなっている)の翼の形がモチーフになっているシンボルマークは、約50年もの間全く変わらずに使い続けられています。多くの人が知っている通り、このマークは今でもなおブランドのシンボルとして、古臭さも感じさせずに使い続けられています。
二つ目には、あえて古臭く感じられることを良しとしたデザインとしている場合が挙げられます。こちらも有名な実例を紹介すると、大手百貨店グループの髙島屋の、丸に「髙」の文字があしらわれたシンボルマークは、江戸時代後期の天保2(1831)年に京都で古着木綿商を創業した時に作ったもので、実に200年近く使い続けられています。このロゴは年を経るにしたがってノスタルジックな雰囲気を醸成し続け、結果それが歴史や伝統を積み重ねた「風格」という評価へとつながるようになったと思われます。
このように、長く使い続けたロゴは、その使い続けた年数の分だけ確立したブランドとして評価されるようになります。これは新しさやユニークさといった意匠だけでは成し得ることのできない、時間に抗わないデザインという視点がなければできないものでしょう。したがって、その場限りの受け狙いで、時代や流行に即したデザインをしがちな低相場の制作者では、こういったデザインを作り上げることは難しいと考えられます。中間相場の制作者であれば、上記のような長く使い続けられるデザインのノウハウを有しているため、一定の期待ができると思います。高相場になると、そもそも永続的にブランドを成長させるための戦略が練られていることが多いため、それに沿ってロゴが作られるようなことになっていくでしょう。
認知度の向上を目的にロゴを作ろうと考える人は少なくないと思います。多くの人に知られ、良いイメージを抱いてもらうために、優れた意匠のロゴをデザインしたくなるのは当然のことだと思います。しかし実際は、どんなに優れた意匠のロゴを作ったとしても、何もせず自然にそのロゴが世の中に知られるようになることはまずありません。企業や商品のロゴリニューアルがテレビやネットなどで話題として取り上げられるのは、そもそもその企業や商品が有名か、そのロゴのデザインを手掛けたデザイナーが有名かのどちらかの場合だからなのです。
しかしロゴデザインそのものが話題になって、認知度向上に寄与することも実はあります。たとえば2025年に開催される大阪・関西万博のロゴが様々な媒体で話題となったのは記憶に新しいところでしょう。もちろん大々的な公募によって、たくさんのロゴ案が応募されたからというのも要因の一つではあると思いますが、その時ニュースで取り上げられていた内容の中心は、採用となったそのロゴのデザインのユニークさだったと思います。
このように、ロゴデザインそのものが話題になるには、意匠が優れているかどうかはあまり関係なく(大阪・関西万博のロゴの意匠が優れていないと言っている訳ではない)、それ以外に話題になりそうなデザインが施されているかどうかが重要になってくるのです。奇抜なデザインやユニークなデザイン、あるいはそれまで使っていたロゴとは全く違う方向性に変更したデザインなど、どのようにロゴに話題性を持たせるかを考える必要があります。
しかしそのロゴデザインが話題になるかどうかを見極めるためには、ただ闇雲にデザインを奇抜にしたりユニークにしたりすれば良い訳ではありません。話題性を狙って作るにはそれなりのノウハウやリサーチが必要になってくるため、そのノウハウやリサーチに乏しい低相場の製作者には難しいものと思われます。中間相場・高相場であれば、金額次第で話題になりそうなデザイン方法を模索してくれるでしょう。思い付きのデザインが話題になることはなく、話題になるにはそれなりの理由があり、その理由を理解している制作者でないと作ることができないのです。
ロゴ制作は、相場によって様々な料金プランがあります。またそのプランによって、制作の進め方も全く異なります。
仮に、10万円でロゴを作るデザイナーを探していたとします。しかし同じ10万円でも、打ち合わせの回数や提案数、修正回数・納品物などが予めきっちり決まっている料金プランもあれば、「10万円で最大限の成果を出します」というざっくりとした決まり事だけの料金プランもあり、発注者がどちらの進め方を好ましく思うかは人それぞれではないでしょうか。つまり、料金プランの中身をじっくり眺めると制作の進め方が見えてきて、それが発注を判断する材料になるのです。
そこでここでは、ロゴ制作にはどのような料金プランがあるかを紹介していきたいと思います。またそれぞれの料金プランがどの相場帯で多いかを知ることで、最適な依頼先がより見つけやすくなるようになることでしょう。
文字通り、見積もりをした上で制作費・作成料金の金額を決めるやり方で、高相場のデザイン事務所・制作会社でよく見られるプランです。何の検討・作業を行いながらロゴをデザインしていくかを発注者と議論した上で契約するため、発注者の希望通りの進め方でロゴを作ることができるというのが大きなメリットです。
しかし見積もりは、受注者がその都度案件の内容を吟味して費用を算出するため、受注者主導で金額が決まってしまいがちなのがデメリットです。難易度の高そうなロゴだと判断されるほど、費用も高額になっていきます。したがって進め方は納得していても、予算内におさめるためには、時には金額交渉を行わなければならないこともしばしばあります。
したがって見積もりによって納得の発注金額を得るためには、受注者とのコミュニケーションが不可欠となります。見積もりの時点で受注者との信頼関係をしっかり築くことができれば、受注者も不義理な金額を提示することは少なく、誠実かつ適切な契約を結ぶことがきっとできるでしょう。
Webサイトなどに、行われる検討・作業内容が金額とセットで明記してあるもので、中間相場のロゴ制作専門サービス、低相場のスキルマーケットでよく見られる料金プランです。制作費・作成料金を、検討・作業内容と照らし合わせながら吟味できるため、受注者とやり取りせずとも制作の進め方とコストが発注前に確認できるのがメリットです。
しかし、検討・作業内容がはじめから決まっているため、発注者にとって検討・作業内容に過不足があることも考えられます。オプションで検討を追加することも可能ですが、どちらかと言えば制作の進め方にはあまりこだわりがなく、金額に対する結果(コストパフォーマンス)の良さを重視したい人向けの料金プランであると言えるでしょう。
成果報酬というと、ロゴの出来具合を見て、それに見合った金額を支払うというシステムだと思うかもしれませんが、そうではありません。ここでいう成果報酬制とは、中間相場のロゴ制作専門サービスでしばしば見られる「無料提案」のことです。
無料提案のロゴ制作サービスは、初回のロゴ提案が気に入った時のみ報酬を支払えばいいという仕組みになっており、気に入らなければ発注者は費用を一銭も払わなくてよく、そのため「無料提案」と謳っているのです。
無料でロゴを提案をしてくれる訳ですから、発注者にはメリットしかないように感じると思います。しかし受注側にとっては、気に入られなければ一銭も手に入らないギャンブルのような仕組みですから、制作に対するモチベーションが担当者によってかなり違うことが考えられます。報酬を得ようと一生懸命になるデザイナーもいれば、気に入ってもらえればラッキーくらいにしか考えていないデザイナーもおり、担当デザイナーのモチベーションの差がデザインのクオリティに表れやすい料金プランだと言うこともできます。
受注者である制作者・デザイナーの稼働時間に応じて制作費・作成料金を支払うというやり方で、低相場のクラウドソーシングやフリーランスに発注する際に見られる料金プランです。
稼働時間は受注者側からの自己申告としているところが多く、発注者と受注者の信頼関係ができていないと成立しない仕組みです。また動いた分だけ報酬が発生することから、受注者側に一定の成果を短時間で作ろうとする意識がなければ、無駄なお金がどんどん出ていってしまうことも懸念されます。そして、時給のような感覚で制作作業を行うため、アルバイト感覚で取り組まれるおそれもあるでしょう。
つまり、上手くいけば安くロゴを作ることができるかもしれないが、逆に高くついてしまったり、質の高くない成果品になってしまったりする可能性もあるプランであるため、発注する際は慎重に検討してから行うようにした方がよいでしょう。
コンペ方式は低相場のクラウドソーシングで行われており、詳細は「3.各相場における主なロゴ制作者の概要」にも書いた通りです。
発注者が自由に報酬(賞金)の金額を設定できることが最大のメリットですが、金額に応じて提案される数が変わるのが難しところです。またコンペ方式は受注者とのコミュニケーションが伴わないため、実力のあるデザイナーが応募してくれるかどうか、期待通りのクオリティのデザインが出てくるかどうかは保証されず、ギャンブル性の高い方法だといえるでしょう。
各契約システムが多く行われている相場帯まとめ
| 低相場 | 中間相場 | 高相場 | |
| ①見積制 | - | - | 〇 デザイン事務所 制作会社 |
| ②定価型定価制 | 〇 スキルマーケット | 〇 ロゴ制作専門サービス | - |
| ③成果報酬プラン(無料提案制) | - | 〇 ロゴ制作専門サービス | - |
| ④時間報酬制 | 〇 クラウドソーシング フリーランス | - | - |
| ⑤コンペ方式 | 〇 クラウドソーシング | - | - |
ロゴデザインも他の業種と同様、需要と供給の数によって、制作費・作成料金の相場は変動します。ここではロゴ制作の今後の相場動向について、需要・供給という視点から考えていきたいと思います。
ロゴの発注件数の中で特に多いのは、起業や新規法人設立に伴う制作依頼です。下のグラフは近年の新設法人数の推移を示したものですが、2012年に約10万件だったのが、2021年では約14万件にまで増えていることが分かります。このように法人が新設される数は増加傾向にあり、それに伴い今後もロゴの需要は高まるものと考えられます。

こういった新規法人設立のほか、企業が行う新規事業のために制作する「事業ロゴ」の発注件数も多いくなっています。事業ロゴは、事業予算の中で言うといわゆる「広告・宣伝費」で作られることが多く、そのため予算消化が必要となる決算期(日本では3月・9月・12月)の手前が発注件数の最も多くなる時期と言われています。
また、ロゴ制作は個人からの発注も近年大変増えています。その理由は、インターネットやSNSの普及に伴い、個人事業主自らがホームページを持ち、そこで商品やサービスの販売・提供を行う、いわゆる「ネットショップ」が増えてきたからです。ネットショップのサイトには顔となるロゴがないとサマにならないため、ロゴを作りたいと考える個人が増えていったのだと考えられます。また最近ではECサイトが誰でも簡単に作れるようになってきたため、ネットショップは今後も増え、個人からのロゴの発注はさらに増えていくものと思われます。
一方供給側を見てみると、これまでは制作会社・デザイン事務所、ロゴ制作専門サービスが多くのロゴ制作を請け負っていたのですが、近年は前述のクラウドソーシング・スキルマーケットの登場により新たな制作者が急増し続けている状況が見られます。また、その制作者の多くは個人でデザイン業をやっているフリーランスのデザイナーがほとんどです。

それまであまりロゴ制作に縁のなかったフリーランスのデザイナーですが、クラウドソーシングやスキルマーケットによって、ロゴ制作案件を受注する機会がぐんと増えました。また近年は働き方の多様化が進み、会社には属さず個人で稼ぐスタイルが増えていることから、個人のセンスやスキルで勝負ができるフリーランスデザイナーという職種は、今後さらに増えていくものと考えられます。
このように、需要と供給いずれも増加傾向にはありますが、そのバランスを見ると、現在はやや供給過多の状況のように思います。そしてそれは今後しばらくは続くことが予想されるため、供給側の競争はより激しくなり、ロゴ制作費・作成料金の相場は下がる傾向になっていくでしょう。
しかし大切なのは、相場が下がったからといって、制作にかける時間を減らし、質まで下げてしまってはいけません。今こそデザインのクオリティをしっかり見つめ直し、より良いロゴを提供することで、当サービスの価値をお客様にご理解頂けるようにしていかなければならないと改めて感じております。
ここで現在のロゴ制作相場に対する、当サービスsynchlogoの考え方や料金設定について紹介したいと思います。なお当サービスは「中間相場|ロゴ制作専門サービス」に該当します。
ロゴ制作をお考えのお客様は、是非他社・類似サービスと比較した上で、ご検討頂ければと思います。
| 他社 類似サービス | synchlogo | |
| 調査費 | 別途としている ところもある | 料金プランに含まれます |
| デザイン料(提案数) | 料金プランによる 提案数は固定 | お客様ご自身で決められます (自由に提案数と金額を決めて頂けます) |
| 調整費・修正費 (提案後の追加修正) | 制限回数を超えると 追加費用が発生 | 無料 (大きな方針変更がなければ回数は無制限) |
| オリジナルデータ (aiファイル)のお渡し | 別途が多い | 無料 |
| 著作権譲渡料 | 別途が多い | 無料 |
| レギュレーション作成料 | 別途が多い | 別途 |
| 打ち合わせ費用 | 別途が多い | 無料 |
| 交通費 | 別途が多い | 無料 (東京全域、神奈川・埼玉・千葉の一部地域まで) |
synchlogoは「手頃な価格で本物のロゴを気軽に手に入れて頂きたい」をコンセプトとしており、オリジナルロゴを提供するサービスの中では比較的リーズナブルな料金設定になっていると思います。しかし料金は安くとも、「必ず良いロゴを提供する」ことはコンセプト以前の大前提ですので、デザインの質についてもご安心ください。過去の制作実績をご覧頂くと、そのことはご理解頂けるのではないかと思います。
私たちが目指しているのは、[高品質×安心の対応力×低価格]のロゴ制作専門サービスです。
まずデザインの質や対応力についてですが、前述の通り、synchlogoに所属するための審査では「大企業もしくは公的機関のロゴ制作実績を有していること」を必須条件としているため、高品質のデザイン、対応力は間違いありません。
そして、そのデザイナーが初回打ち合わせから制作、納品、アフターフォローまで全てを専任で行い、極力他の人間の手間がかからないようにすることで、不要な人件費を徹底的に削減しております。さらに他社・類似サービスではオプション料金として追加されることが多い、「完成したロゴの著作権譲渡」「オリジナルデータ(aiファイル)のお渡し」「デザイン説明書作成」なども、実際はさほど実働時間がかかるものではないためsynchlogoでは全て無料といたしました。またレギュレーション(使用ガイドライン)については、策定してしまうとむしろ自由にロゴが使えなくなる“縛り”となるおそれもあるため、synchlogoでは通常の納品物からは省き、お客様からご希望があった時のみ別料金で追加できる仕組みとしております。
もちろんたくさんの提案を作った方がデザインの比較ができ、デザイナーもアイデアを出し尽くすことができますが、一方、ある程度お客様の方でデザインイメージが固まっている場合はその限りではありません。その場合はむしろリーズナブルにロゴをお作り頂きたいので、synchlogoでは素案の提案は1案から可能なようにしております。また、39,800円の基本料金に、1案につき10,000円ごとに提案を増やす形でお客様の方にて提案数・料金を決めて頂くことができるようにしています。これによって、お客様にちょうどいい提案数と料金の制作プランが間違いなく設定できるでしょう。
しかし、適切な提案数がどれくらいなのか悩まれる方もいると思います。そこで参考までに「こんなお客様にはこれくらいの提案数がお勧めです」というのを記しておきたいと思います。もちろんこの通りにする必要はまったくありませんが、迷われたお客様は是非参考にしてみてください。(※表示してある金額は全て税別になります)
◆1案|49,800円
・「とりあえず1案だけ見てみたい」というお客様
・synchlogoのデザイン力がどれくらいのものか試してみたいというお客様
・完全デザインイメージが固まっていて、それを形にすることだけを希望しているお客様
◆2案|59,800円
・複数案ではどれを選んでいいか迷いそうだが、念のため比較検討はしたいというお客様
・両極端な方向性の案を見てみたいというお客様
・たたき台を1案見てイメージを膨らませた後、本番のデザインに取り掛かりたいというお客様
◆3案~5案|69,800円~89,800円
・たくさんの案だと迷いそうなので、程よい比較検討をしたいというお客様
・いくつかバリエーションのあるデザインを見てみたいというお客様
・たくさん案を見てみたいが、予算的な制約もあるため適度な数の提案としたいお客様
◆6案~10案|99,800円~139,800円
・複数の人数で議論・決定するような場で比較検討をしたいというお客様
・個人でもとにかくたくさんのデザインを見てみたいというお客様
・最初に3案見て方向性を煮詰めた後、もう3案作って確実にイメージ通りのデザインにしたいというお客様
上記の料金を見て高いと感じ、値引きを希望するお客様もいると思います。もちろん制作者側としてはもちろんあまりされたくない値引きですが、提示したロゴ制作費・作成料金がお客様に「高い」と思われているのであれば、何とか適切な金額を提示し直したくなるものです。
お客様はロゴ作りにかける費用を依頼前から既に決めていることが多く、その金額の中で最大限良い成果を収めてくれそうなデザイナーを一生懸命に探すのではないかと思います。限られた予算の中で、「このデザイナーの作風が好き」「この制作サービスの実績は信頼できる」と思って問い合わせてくださったお客様の気持ちを無下にする訳にはいかないですよね。
そこでここではロゴデザインの制作費・作成料金における見積もり値引き交渉について、synchlogoが考えていることをお伝えしていきたいと思います。値引きにお応えできる場合と出来ない場合の説明も合わせてしていきますので、どうぞ参考にしてみてください。
合理的な交渉材料があれば値引きに応じます
どうしてもこの人に頼みたいけど予算が・・・というケースは、その思いをぶつければ理解は得られると思います。しかし、単に「得をしたい」という考えで値引き交渉をしてくるお客様は、申し訳ないですがsynchlogoではお断りさせて頂いております。「周りのみんなに宣伝するから」「次もまた依頼するから」といった不確かな約束と引き換えに値引きを要求してこられるお客様も同様です。
お断りする理由は、そういったお客様とは信頼関係を築けないと考えているからです。制作者がお客様の気持ちや考えを理解しようと努力するのと同様に、お客様側にも制作者が考えていることを理解する姿勢がなければ、良いロゴができるはずありません。そういった相互理解は信頼関係が築けてこそ得られるものですので、依頼前に一方的な要求などをされてしまうと、その後足並みを揃えてロゴ作りに取り組める気がしないのです。
もちろん、初回の提案数を減らす、お客様が具体的デザインイメージを描きその仕上げだけを担当する、といった合理的な交渉材料をご提示頂いた上での交渉であれば、それはもちろん制作金額をディスカウントする方向で再見積もりすることもあるでしょう。
自ら値引きを提案してくる制作者は金額を「盛っている」
逆に、もし制作者側から「安くするから契約して欲しい」といった趣旨の提案があった時は注意深く吟味した方がよいでしょう。
値下げ前・値下げ後の金額が適正価格かどうかはさておき、自ら金額を下げるということは、少なくとも最初に出した見積もりは「盛った金額」だと考えられます。また、必要以上に金額を盛るというのは、制作者がお客様目線でロゴ作りのことを考えていない可能性もあるため、これもまた注意が必要です。
もちろん仕事がないため赤字覚悟で安くロゴ制作を引き受ける制作者もいると思います。ただそういった方は、その仕事を上手くやらないと次に繋がらないこと分かっているため、むしろ真剣に取り組む可能性もあると思います。
以前あるお客様に、「どうしてこんな小さなマーク1つ作るのに数万円もかかるの?」と言われたことがあります。たしかにロゴは、デザイナーなら簡単に作れるように見えるかもしれません。シンプルな形のロゴは特にそうでしょう。
ロゴは制作物の中でも、制作に対する時間のかけ具合をデザイナー自身がコントロールしやすいものだと言えます。言い方を変えれば、いくらでも手を抜くことができますし、逆にいくらでも手をかけることもできるのです。
しかし思い付きで作っただけのロゴのデザインはやはり薄っぺらく、奥行きも奥深さもない、何となく見た目が良いだけのものに過ぎません。一方本気のブランディングまで行い、数百の案を作り比較した上で完成したロゴのデザインは重厚で隙のない、緊張感のある仕上がりになります。
つまり時間のかけ具合によって金額は変わってくる、ということになりますが、もちろん時間をかければ必ず良いロゴができる、という訳ではありません。しかし、良いロゴには相応の時間がかかっていることがほとんどですので、本当に良いロゴを作りたいのであれば、値引きはできるだけ避けて頂きたいと思います。

このコラムでは、ロゴ制作費・作成料金の正しい見方や、適正価格の見極め方を解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
最後にsynchlogoの見解を一言だけ申し上げますと、ロゴデザインの依頼先を金額で比較することももちろん大切ですが、デザイン力や対応力、さらには社会的信用や真摯さ・誠実さなど多角的な視点で検討すると、低予算で最高のロゴを作ることが可能になります。
お客様にぴったりの制作者を見つけることが、良いロゴを作る第一歩になります。
このコラムを参考に、じっくりと探してみてください。
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