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常石グループの新ロゴに見る、企業ブランドを「設計」するという考え方

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常石グループは2025年に新たなコーポレートアイデンティティ(CI)を策定し、企業ロゴを刷新しました。この変革は単なるロゴ変更に留まらず、グループ全体のブランド戦略に深く結びついています。本稿では、企業概要とブランド理念、ロゴデザインの構造的特徴、そしてロゴを通じて伝えようとしている価値や思想について整理します。

企業ブランドとロゴの役割

常石グループは長い歴史を持つ日本の総合企業グループで、1903年の海運事業創業以来、造船・海運・商社・エネルギー・環境・ライフ&リゾートまで多角的な事業を展開しています。創業から100年以上、地域社会や産業界と共に「未来の価値を、いまつくる」を掲げる企業として歩んできました。そうした企業の存在理由や事業広がりを統合的に表現するシンボルとして、ロゴは単なる視覚マークではなく、ブランドの象徴として機能することが求められています。

新ロゴの策定背景には、このブランド価値の再定義と全社的な一体感の強化があります。単体の企業として存在するだけでなく、国内外のグループ各社が共通のアイデンティティを持つことで、 Stakeholder(顧客・取引先・地域社会・従業員)に対して一貫したメッセージを発信する役割を担っています。この目的意識が、ロゴ設計の根幹に据えられています。

また、社名を「常石グループ株式会社」に変更した点からも、企業体としての多様性と統合性を明示しており、ロゴはその象徴的な表現手段として位置づけられています。これは、グループとしての統一ブランドを構築する戦略的判断であり、ロゴ刷新と社名変更が連動したブランド戦略の柱となっています。

ロゴデザインの特徴と工夫

新たな常石グループのロゴは、「シンボルマークのみのシンプルな構成」として設計されています。従来のように文字列(ロゴタイプ)とシンボルを組み合わせた典型的なロゴとは異なり、視覚的象徴のみで成立することに主眼を置いています。こうした構造は言語や事業領域、使用環境を越えて通用する普遍性を持たせるための工夫です。たとえば海外拠点やデジタル環境でも視認性を損なうことなく使える、スケールに対応したデザインになっている点が特徴です。

このシンボルは、もともと創業期から大切にされてきた「天」の文字を起点にデザインされています。これは歴史的な背景を踏まえたモチーフであり、グループのルーツや継続性を象徴する要素です。新ロゴではこの「天」の文字を、英語表記の会社名を想起させる「T」の形と統合しました。漢字「天」の持つ包容力ある形象と、「T」が示す企業名のイニシャルが融合することで、視覚的にも強いシンボル性を持つデザインになっています。

この「T」と「天」という2つの要素の組み合わせは、ただ記号的に結合されたものではありません。配置において、「天」が「T」の上手(かみて)側に位置しています。日本の伝統で「左上位」という美意識があるとされることを踏まえ、視覚的に上位概念を示す位置エネルギーを使うことで、「社員や顧客と向き合う」「双方向の関係性」を象徴しています。つまりロゴは単なる企業名表示ではなく、ステークホルダーと常石グループとの関係性を視覚的に表現する装置になっています。

また、ロゴデザインは家紋や地図記号のように、どこか地域社会にすっと溶け込む普遍的な印象を持たせています。これは企業が地域に根ざし、長年の歴史の中で培った信頼を視覚として表象する狙いもあります。視覚的なデザインが強く主張しすぎるのではなく、背景にある企業の価値を支えるイメージとして機能するよう配慮されています。

競合ロゴとの差異化という観点では、一般的なコーポレートロゴがロゴタイプとシンボルマークをセットにするのに対し、常石グループはシンボル単体でブランドを成立させる方向を選んだ点が際立ちます。この方針は、言語に依存しないブランド表現を志向するグローバル企業に多く見られる手法ですが、国内企業ではまだ例が多くない実践です。そのため、視覚的な純度を高めつつ、他者との差異化を図る戦略として有効です。

伝えたい価値とブランドへの寄与

新ロゴが伝えようとしている中心的な価値は、「継承」と「未来志向」の両立です。歴史ある「天」の文字をモチーフに据えながらも、現代的な「T」の形と統合するというデザイン選択は、伝統を大切にしつつ、未来へ向けた変化を恐れない姿勢を象徴します。これは企業としてのアイデンティティを強化するだけでなく、Stakeholderに対して「変わらない価値」と「進化する価値」の両方を訴求します。

ロゴを通して伝えられる価値のひとつに、「双方向の関係性」があります。視覚的に向き合う配置やデザイン解釈は、従来の一方通行的な企業象徴ではなく、Stakeholderとの共同体的な関係性を示唆するものです。この点は、単なる視覚的装飾ではなく、企業と社会との関わり方そのものを再定義するアプローチとして評価できます。

さらに、ロゴ刷新と同時進行でブランド戦略の一環として実施された社名変更や、公式ウェブサイト・SNSの統一的なデザイン統合は、ブランド認知度の向上に寄与しています。特にグループ各社の社名変更においても新ロゴが採用されることで、造船セグメントなど特定事業に限らず、グループ全体の統一性が高まりました。これは競合環境の中でブランドとしての存在感を強化する上で重要な役割を果たしています。

ロゴに込められた価値観の一部は、企業内部へのインパクトにも表れています。新CI策定に当たっては「ツネイシデザインプロジェクト」というプロジェクト体制が設置され、クリエイティブを統括するデザイン責任者を迎えています。このようにデザイン戦略自体を企業の意思決定プロセスの中心に位置付けることは、ブランドとしての成熟度を高める取り組みです。

その結果、ロゴは単なる企業マークではなく、企業文化や価値観を体現するメディアとして機能し、Stakeholderに対して一貫したブランドメッセージを伝える媒体になっています。この点は、成熟した企業ブランドが目指すべき方向性と一致しており、今後のブランド価値向上や認知強化に寄与すると考えられます。


※ロゴ画像引用元:https://www.tsuneishi-g.jp/
※本記事はデザインの研究・考察を目的として公開しており、権利を侵害する意図はございません。

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