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ロゴコラム

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【世界のロゴ紹介 012】Nederlandse Spoorwegenのロゴデザインとブランド展開

Nederlandse Spoorwegen(以下、NS)は、オランダの公共交通を支える国有鉄道として、単なる輸送事業者を超えた強固なブランドを築いてきました。その背景には、企業としての立ち位置を明確にした経営方針だけでなく、半世紀以上にわたり一貫して使われてきたロゴマークを中心とする、極めて合理的かつ戦略的な視覚設計があります。NSのロゴは装飾や流行に左右されるものではなく、鉄道という公共インフラに求められる「識別性」「信頼性」「機能性」を徹底的に突き詰めた結果、生まれたものです。本コラムでは、同社の企業概要、ロゴデザインの意図、そしてブランド展開における視覚戦略を整理し、同社がどのように現在のブランドへと成長したのかを見ていきます。

企業概要|公共インフラを支える国家的ブランド

NSは、オランダを代表する国有鉄道事業者であり、同国の公共交通インフラの中核を担う存在です。1938年に設立され、現在もオランダ政府が全株式を保有する国有企業として運営されています。主な事業は旅客鉄道輸送で、国内の主要都市を結ぶインターシティ列車や、近距離移動を担うスプリンターなど、多層的な鉄道ネットワークを構築しています。

NSの特徴は、単なる鉄道会社にとどまらず、「国民の移動体験そのもの」を設計対象としている点にあります。鉄道というハードインフラに加え、駅空間、案内サイン、チケットシステム、Webサイトやアプリなど、利用者が接触するあらゆるタッチポイントを統合的に管理・改善してきました。これは、公共サービスでありながら、極めて高度なブランドマネジメントを行っている企業であることを意味します。

また、近年はサステナビリティにも積極的で、列車の運行を再生可能エネルギーで賄うなど、環境配慮型企業としての姿勢も明確に打ち出しています。NSは「移動の提供」を超え、「安心・信頼・持続可能性」を社会に提供する存在として、国民生活に深く根付いた企業だと言えるでしょう。

ロゴデザインの意図|機能を突き詰めた抽象シンボルの完成形

NSのロゴ、特にシンボルマークは、1968年に制作されたものでありながら、現在に至るまでほとんど変更されずに使われ続けています。この事実だけでも、このロゴがいかに完成度の高い設計であったかが分かります。

シンボルマークは、「N」と「S」を極限まで抽象化した幾何学的な形状で構成されています。左右に配置された矢印のような形は列車の進行方向や往復運動を想起させ、中央の2本線は鉄道のレールを象徴しています。文字情報を直接読ませるのではなく、「鉄道会社であること」を瞬時に理解させる構造的記号として設計されている点が最大の特徴です。

重要なのは、このロゴが視覚的な装飾や感情表現を目的としていないことです。NSのロゴは、「速く認識できること」「遠くからでも判別できること」「動いていても崩れないこと」を最優先に設計されています。これは、鉄道という高速・大量輸送の現場において、極めて合理的な判断です。

また、直線的で無駄のない形状は、公共インフラとしての中立性や信頼性も同時に表現しています。特定の時代性や流行に寄りかからないため、結果として半世紀以上にわたり使い続けることが可能になりました。NSのロゴは、意匠性よりも機能性を突き詰めた結果、生まれた「普遍的なデザイン」だと言えるでしょう。

ブランド展開におけるロゴの役割|識別マークを超えた視覚インフラとしての機能

NSがロゴを用いて行ってきたブランド展開の最大の特徴は、ロゴを「装飾」や「象徴」としてではなく、「視覚インフラ」として扱っている点にあります。ロゴは車両の外装、駅の看板、案内サイン、時刻表、チケット、Webサイト、アプリに至るまで、あらゆる接点で一貫して使用されています。

特に注目すべきは、ロゴと配色の関係です。NSは、イエローとダークブルーという高コントラストの配色を長年にわたって維持してきました。この色の組み合わせは、遠距離からの視認性が高く、混雑した駅構内や悪天候下でも認識しやすいという、極めて実務的な理由に基づいています。その結果、この配色自体が「オランダの鉄道」を想起させる社会的記号として定着しました。

また、ロゴは単独で目立つ存在ではなく、案内表示やピクトグラム、タイポグラフィと組み合わされ、情報伝達システムの一部として機能しています。これは、ロゴを主役に据える一般的な企業ブランディングとは異なり、「利用者の迷いを減らすこと」を最優先にした設計思想です。

NSのブランド展開は、感情訴求型のストーリーテリングとは対極にあります。しかし、その徹底した合理性と一貫性こそが、結果として国民的な信頼と親しみを生み出してきました。ロゴはここで、企業を象徴するマークであると同時に、社会を円滑に動かすための「機能装置」としての役割を果たしているのです。

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