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COLUMN
フードデリバリーサービスは、今や単なる「便利な配送手段」ではなく、生活インフラの一部として認識される存在になりました。その中で、数ある競合と明確に差別化されたブランドイメージを確立しているのが、Deliverooです。
同社のロゴは一見するとシンプルで親しみやすいデザインですが、その裏側には、グローバル展開を前提とした極めて合理的かつ戦略的な設計思想が隠されています。本記事では、Deliverooのロゴを「意匠」ではなく「設計物」として捉え直し、どのような意図で形づくられ、なぜ機能しているのかを掘り下げていきます。
Deliverooは2013年にイギリス・ロンドンで創業したフードデリバリー企業です。都市部を中心に急速にサービスを拡大し、現在ではヨーロッパやアジアなど複数の国・地域で事業を展開しています。
このような多国籍・多文化環境で事業を行う企業にとって、ロゴは単なる「会社の印」ではありません。言語や文化の壁を超えて、一瞬でサービスの性格やスタンスを伝えるための、視覚的な共通言語として機能する必要があります。
Deliverooのロゴが担っている役割は明確です。それは「スピード」「親しみやすさ」「テクノロジー企業でありながら人間的であること」を、説明なしで伝えることです。ロゴは広告やWebサイトだけでなく、アプリのアイコン、配達員のバッグ、街中を走る自転車など、非常に多くの接点で露出します。そのすべての場面で破綻せず、かつ一貫した印象を与えることが、このロゴには求められています。
Deliverooのロゴマークは、カンガルーをモチーフにした抽象的なキャラクター形状で構成されています。ここで重要なのは、写実的な動物表現をあえて避け、極端に記号化している点です。耳と顔を最小限の形状で表現し、細部の情報を徹底的に削ぎ落とすことで、どのサイズでも識別可能なシンボルに仕上げられています。
色彩設計も同様に戦略的です。鮮やかなターコイズグリーンは、食品系サービスにありがちな「赤」や「オレンジ」とは明確に一線を画しています。これにより、競合と並んだ際の視認性が高まるだけでなく、テクノロジー企業としてのクリーンさや先進性も同時に表現しています。
また、この色は背景色としても非常に扱いやすく、白抜き・黒抜きのどちらでも高いコントラストを保てるため、アプリや屋外サインといった使用環境の差異にも柔軟に対応できます。
構造面で注目すべきは、左右対称に近い安定した形でありながら、どこか動きを感じさせるバランスです。直線ではなく緩やかな曲線を主体とすることで、スピード感と柔らかさを同時に成立させています。これは「速いけれど冷たくない」「効率的だが人間味がある」という、Deliverooが提供したい体験価値と直結しています。
Deliverooのロゴが象徴しているのは、単なる配送スピードの速さではありません。むしろ重要なのは、「日常の中に自然に溶け込む存在であること」です。
カンガルーというモチーフは、本来スピードや跳躍力を連想させる動物ですが、Deliverooの表現はどこか愛嬌があります。これは、サービスを「無機質な物流」ではなく、「人の生活を支えるパートナー」として位置づけたいという意思の表れです。
また、ロゴが過度に自己主張しない点も見逃せません。強烈な象徴性を持ちながらも、ユーザー体験の主役はあくまで「食事」であり、Deliveroo自身は黒子に徹するというスタンスが感じられます。ロゴは目立ちすぎず、しかし確実に記憶に残る。この絶妙な距離感こそが、ブランド思想としてロゴに落とし込まれています。
このロゴ設計が優れている最大の理由は、「使用環境から逆算されている」点にあります。スマートフォンの小さなアイコンから、街中で走る配達バッグの大型ロゴまで、スケールが極端に異なる環境でも、同じ印象を保てるよう設計されています。
これは感覚的なデザインではなく、明確に設備的視点を持った設計です。線の太さ、余白、形状の単純化はすべて、再現性と識別性を最優先した結果と言えます。
さらに、グローバル展開を前提とした文化的中立性も機能性を高めています。特定の言語や宗教的記号に依存しないため、どの国・地域でも違和感なく受け入れられます。結果として、ブランド認知がスムーズに積み上がり、広告コスト以上の効果を生んでいるのです。
Deliverooのロゴから学べる最大の教訓は、「ロゴは見た目ではなく、設計である」という一点に尽きます。
おしゃれかどうか、流行っているかどうかではなく、「どこで」「どのように」「何度も」使われるのかを徹底的に想定した上で形を決めているかどうか。この視点が欠けたロゴは、どれほど美しくても実務では機能しません。
ロゴ作成を検討する際、まず考えるべきは装飾ではなく、使用環境と役割です。Web、印刷物、SNS、看板といった複数の媒体で一貫して機能するか。そのロゴは、ブランドの思想を無言で語れているか。
Deliverooの事例は、ロゴが「企業の顔」であると同時に、「視覚による業務装置」であることを、非常にわかりやすく示しています。読者の皆さまが自社やクライアントのロゴを考える際、この設計視点を持ち込めるかどうかが、成果を大きく左右するでしょう。
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