ロゴ制作・ロゴデザインを依頼するならsynchlogo(シンクロゴ)
COLUMN
ロゴをAIで作れる時代になりました。
実際、ロゴ生成AIや汎用AIを使えば、専門知識がなくても、それなりに整ったロゴを短時間で作ることができます。
ただし、「AIでロゴは作れる」という事実と、「どんなロゴでもAIで十分かどうか」は、まったく別の話です。
AIで作ったロゴに対して、「悪くはないが、決め手に欠ける」「安心感はあるのに、なぜこの形なのかが分からない」といった違和感を覚える人がいるのは、AIの性能や使い方の問題ではありません。
そもそもロゴには種類があり、求められる役割が異なるからです。
ロゴ作成とは、単に見た目を整える作業ではなく、「誰に、何を、どう伝えるか」を視覚の形に翻訳する行為です。AIはその翻訳作業の一部を自動化できるようになりましたが、すべてのロゴを同じやり方で作れるわけではありません。
本記事では、ロゴ作成AIを万能な道具として扱うのではなく、「どんなロゴに、どの作り方が向いているのか」という視点から、BrandmarkやCanvaなどのロゴ生成AI、またChatGPTやGeminiといった汎用AIが得意とするのはどんなロゴかを整理していきたいと思います。さらに、「デザイナー制作でしかできないロゴとは?」というところまで踏み込み、ロゴ作成における現在のAIにできること、高次の活用方法などについても明らかにしていきます。
AIでロゴを作るべきか、デザイナーに依頼すべきか。
その答えは、「AIか人か」ではなく「あなたが必要としているロゴは、どんなロゴなのか」によって決まるのです。
【本記事の要点】
本記事では、AIによるロゴ作成を一律に評価するのではなく、「どんなロゴに、どの作り方が向いているのか」という視点から整理します。
・業界の定番表現や「それらしさ」を重視するロゴにおいて、ロゴ生成AIがなぜ有効なのか。その理由とメカニズム。
・描きたいモチーフや条件が明確で、「何が描かれているか」を優先するロゴにおいて、汎用AIが力を発揮する理由とメカニズム。
・どちらにも当てはまらず、「なぜこの形なのか」という理由そのものが重要になるロゴにおいて、デザイナーによる設計がなぜ必要になるのか。その考え方と実例。
これらを順に見ていくことで、AIで作るべきロゴと、人の手で設計すべきロゴの違いが整理できるはずです。

まずは、「ロゴ生成AI」についてです。
ここで扱うロゴ生成AIと呼ばれているサービスには、用途や成り立ちの異なる様々なタイプがあります。以下は本記事で対象とする代表的なロゴ生成AIサービスです。
それでは王道デザインのロゴを作るのであれば、なぜロゴ生成AIなのか。
まずは、そもそも「王道デザインのロゴ」とは何かというところから見ていきましょう。
ロゴにおける「王道のデザイン」とは、業界や業種など、同じジャンル・カテゴリーの中で長年使われてきた、共通の形や図形、モチーフを用いたデザインのことです。「定番のデザイン」や「様式に則ったデザイン」と言い換えることもできるでしょう。
分かりやすい例としては、日本の醤油メーカーに多く見られる「亀甲紋」、医療関係のロゴに用いられる「アスクレピオスの杖」のモチーフが挙げられます。また、自動車メーカーやファッションブランドにおいて、社名のイニシャルをベースにしたロゴが多いのも、業界内で共有されてきた王道の表現のひとつと言えるでしょう。



こうした王道デザインのロゴは、見方によっては「個性がない」「どこかで見たことがある」と感じられることもあるでしょう。しかし、これらのモチーフや構成が繰り返し使われてきたのは、見る側がその意味や印象を、ほとんど説明なしで理解できるからに他なりません。
つまり王道のデザインとは、単に無難な選択肢なのではなく、業界内で意味や役割が共有された視覚的な共通言語だと言えます。あえてこの共通言語を使うことで、「このジャンルの中にいる」「ここに属している」というメッセージを、強い違和感なく伝えることができるのです。
ロゴであえて王道を選ぶという判断は、差別化を放棄しているのではありません。むしろ、その業界やカテゴリーの中心に立つことを前提にした、極めて戦略的な選択だと捉えることもできるでしょう。
ロゴ生成AIが王道のデザインと相性がいい理由は、偶然ではありません。
ロゴ生成AIそのものが、王道のデザインを再現することに最適化された仕組みとして作られているからです。
ロゴ生成AIは、インターネット上に「ロゴ」として公開されてきた、膨大なグラフィックデータを学習素材としています。ユーザーは、業種やジャンル、デザインのイメージ、配色といった、あらかじめ用意された条件を選択・入力しますが、AIはそれらの条件に合致するデザインを、学習済みのデータの中から絞り込んでいきます。
そしてAIは、選ばれたデータに共通する形や構成、雰囲気といった特徴を抽出し、それらを組み合わせることで、ユーザーが求めるロゴ案を生成します。つまりロゴ生成AIが行っているのは、新しい発想を生み出すことではなく、過去に多く使われてきた型をもとに、もっともらしいロゴを再構成することなのです。
膨大な学習素材には、業界ごとの定番モチーフや構成、繰り返し使われてきた表現が数多く含まれています。その結果、ロゴ生成AIは、個別の文脈や背景を読み取って判断するのではなく、過去に多く採用されてきた型=王道に近い形を、統計的に導き出すことを得意としています。
ここで重要なのは、ロゴ生成AIが「考えずに作っている」という点です。
ロゴ生成AIは、「なぜこの形が良いのか」「なぜこの業界ではこの表現が選ばれてきたのか」といった理由を理解しているわけではありません。ただ、結果として多く使われてきた形を、効率よく再構成して出力しているに過ぎないのです。
しかし、この性質は欠点であると同時に、明確な強みでもあります。
業界内で共有されてきた王道のデザインを、短時間で、一定の品質で再現できるという点において、ロゴ生成AIは非常に合理的なツールだと言えるでしょう。
だからこそロゴ生成AIは、「まったく新しい表現」や「文脈に踏み込んだ設計」を求められるロゴよりも、王道のデザインがそのまま価値として機能するロゴにおいて、もっとも力を発揮するのです。
【検証:ロゴ生成AIは「王道のデザイン」をどう出力するのか】
実際にロゴ生成AIが「王道のデザイン」をどのように出力するのかを確認するため、ロゴ生成AIの一例である Brandmark ↗を使って検証してみました。
入力した条件は、IT系セキュリティ会社を想定した「ABC security」という名称と、「cyber security」というキーワードのみです。

その結果、生成されたロゴ案の多くに、明確な共通点が見られました。
まず一つ目は、シールド(盾)のモチーフにしたデザインです。
盾は「守る」「防御する」「安全性が高い」といった意味が直感的に伝わるため、実際のセキュリティ(警備)・オンライン上のセキュリティ問わず、「セキュリティ」に関する分野では長年使われてきた王道のモチーフですが、ロゴ生成AIはこの業界的な定番表現を、しっかりと把握し出力してきました。
二つ目は、鍵・ロック・南京錠といったモチーフです。
これらは「情報を守る」「アクセスを制限する」という機能を、説明なしで伝えられる視覚表現として広く共有されています。ロゴに限らず、アイコンや記号として、様々な場所・環境で使用されているモチーフです。ロゴ生成AIは、こうした意味がすでに定着している表現を優先的に採用したものと思われます。
三つ目は、回路やネットワークを想起させる線や構造です。
これはデジタル、通信、サイバー空間といった抽象的な概念を、視覚的に補足するための王道表現です。複雑な技術背景等を説明しなくとも、「IT系」「テクノロジー領域」であることが一目で伝わる表現方法です。既に人々に「イメージ」として共有されているものを、ロゴ生成AIはしっかり理解しているのでしょう。

これら3つの共通点はいずれも、特定の企業固有の文脈から生まれたものではありません。
ジャンル全体の中で繰り返し使われ、意味や印象が共有されてきた「王道の視覚言語」です。
ロゴ生成AIは、こうした過去の蓄積をもとに、「そのジャンルらしい形」を統計的に導き出します。その結果、個別の思想や戦略を与えなくても、そのジャンルの中心にあるような、安心感のあるロゴが安定して出力されるのです。
ここまで見てきたように、ロゴ生成AIは「王道デザインのロゴ」を安定して作り出すことを得意としています。ではその特性は、どのようなロゴ制作の場面で最も効果的に機能するのでしょうか。
重要なのは、「ロゴの良し悪し」を感覚的に語ることではなく、そのロゴに何が求められているのかを整理することです。用途や状況が異なれば、ロゴに求められる機能も変わるからです。
また場合によっては、造形の洗練度よりも、伝わりやすさや違和感のなさといった「確実さ」が優先されることもあります。「王道デザインのロゴ」は、そうした機能が重視される場面で選ばれやすい特徴を持っています。
ここではロゴ生成AIがその強みを最も発揮しやすい、それら代表的な場面を具体的に見ていきたいと思います。
① 複数のロゴを、同時に・効率よく用意する必要がある場合
ロゴ生成AIが特に力を発揮するのが、一定の品質を保ったロゴを、複数同時に用意しなければならない場面です。
たとえば、
・ひとつの企業が、複数の事業やサービスを同時に立ち上げる場合
・商品ラインごとにロゴが必要になるケース
・社内プロジェクトや期間限定施策など、用途ごとにロゴが求められる場合
こうした状況では、すべてのロゴに対して時間をかけて設計し、思想や物語を深く掘り下げていく作り方は現実的ではないでしょう。
このような場合に重要となるのは、「業界やジャンルが一目で伝わること」「他と並んだときに違和感がないこと」「最低限の信頼感や安心感が担保されていること」など、ロゴとしての基本的な役割を、過不足なく満たすことです。
ロゴ生成AIは、まさにこういった条件と相性が良いツールです。
王道のデザインをベースに、一定の品質を保ったロゴ案を短時間で大量に出力できるため、複数のロゴを同時に用意する必要がある場面では、非常に合理的な選択肢になります。
ここで作られるロゴは、「唯一無二であること」よりも、「そのジャンルの中で違和感なく機能すること」が重視されています。その前提に立てば、ロゴ生成AIによる王道デザインは、妥協ではなく、目的に合った最適解だと言えるでしょう。
② ブランドの理念・思想・背景がまだ存在しない場合
ロゴ生成AIが有効に機能するもうひとつの場面が、ロゴデザインの前提となる思想や背景が、まだ明確になっていない場合です。
たとえば、起業直後や新規事業の立ち上げ段階では、
・企業理念やビジョンが言語化されていない
・ブランドとして何を軸にしていくのかが定まっていない
・ロゴに込めるべき意味や物語を、まだ整理しきれていない
といった状態にあることは、決して珍しくありません。
このような段階では、ロゴデザインに対して「深い意味」や「独自の設計」を求めること自体が難しくなります。それは、そもそも設計の材料となる情報が揃っていないためです。
そうした状況で無理にオリジナリティのあるロゴを作ろうとすると、見た目だけが先行し、後から意味づけを補う必要が出てきたり、将来の方向性とズレたロゴになってしまったりする可能性があります。
この点で、ロゴ生成AIによるロゴ作成は合理的な選択肢となります。
なぜならロゴ生成AIは、ブランド固有の思想や歴史を前提とせず、業界やジャンルに共有された王道のデザインをもとにロゴを組み立てるため、「まだ語るべき物語がない」状態でも、違和感のないロゴを用意することができるからです。
ここで重要なのは、王道のデザインに寄せることが、必ずしも消極的な判断ではないという点です。
方向性が定まる前の段階では、無理に個性を押し出すよりも、まずは業界内で通用する形を選び、事業や組織の成長にあわせて、後からロゴやブランドを再設計していくという考え方も十分に成り立ちます。
理念や思想がこれから形成されていく段階において、ロゴ生成AIによる王道デザインは、「いま必要な最低限の役割」を確実に果たすロゴを、無理なく用意するための手段だと言えるでしょう。
③ ロゴが「脇役」で成立する場面
ロゴは、ブランドの顔として常に前面に立たなければならないもの、というわけではありません。
制作物や使用環境によっては、ロゴはあくまで全体を支える「脇役」として機能する方が適切な場合もあります。
ここで言う「脇役のロゴ」とは、ロゴ単体で強い主張を行うものではなく、価格や機能、UI、コンテンツ、サービス内容といった、他の要素が主役となる構成の中で、識別や分類、安心感の担保といった、いわゆる「主役を引き立てる・助ける役割」を静かに果たす、以下のようなロゴのことです。
・WebサービスやアプリのUI内で、小さく表示されるロゴ
・LPや広告、資料など、情報量の多い画面の一要素として使われるロゴ
・管理画面や業務システム、社内ツールなど、機能性が優先される環境
・SNSアイコンやファビコンなど、サイズや視認条件に制約がある場面
これらの環境では、ロゴが目立つことよりも、邪魔をしないことや、「それが何のサービス・組織なのか」が直感的に分かることの方が重視されます。
このような用途において、王道デザインのロゴは高い適性を持っています。
業界内で共有された形やモチーフを用いた王道のデザインは、説明なしでも意味が通じやすく、他の要素と並んだときにも違和感が生まれにくいという特性があるからです。
そして、この条件はロゴ生成AIの性質ともよく噛み合います。
ロゴ生成AIは、業界的な文脈に沿った無難さや安全性を担保したロゴを、安定して出力することを得意としています。主役を張るような強い個性は生まれにくい一方で、場に自然に溶け込む脇役のロゴを用意するという点では、非常に合理的な選択肢になるでしょう。
ロゴが脇役として成立する場面では、「目立たないこと」や「違和感がないこと」そのものが価値になります。その条件を、過不足なく、効率よく満たせるという点で、王道デザインとロゴ生成AIの組み合わせは、このような場面において特に力を発揮するのです。

ロゴ作成に使われるAIには、大きく分けて「ロゴ生成AI」と「汎用AI」の二つがあります。
前章で扱ったロゴ生成AIが、業種や配色、雰囲気といったあらかじめ用意された条件の中からロゴを生成する仕組みであるのに対し、汎用AIは、入力内容にほとんど制限がありません。
ここで言う汎用AIとは、ChatGPTやGeminiのように、文章・画像・構造などを横断的に扱えるAIのことを指します。
ロゴ専用に設計されたツールではありませんが、その分、「どんなモチーフを使うのか」「何を描き、何を描かないのか」といった条件を、言葉として自由に指定することができます。
この入力条件の自由さこそが、汎用AIの最大の特徴です。
ChatGPTやGeminiといった汎用AIは、本来であれば写実的な表現から抽象的な表現まで、幅広い描写が可能なツールです。しかし「ロゴとして出力する」という条件を与えることで、過度に説明的にならないよう抽象度や情報量を自動的に整理し、ロゴとして成立する図形へとまとめ上げます。
この点において汎用AIは、最初からロゴ用の型に沿って出力が設計されているロゴ生成AIとは、異なる役割を担っています。
この章では、ChatGPTやGeminiといった汎用AIの特性を踏まえながら、
「描写型のロゴ」とは何か、そしてどのようなロゴ制作の場面で汎用AIが最も力を発揮するのかを整理していきます。
ここで言う「描写型のロゴ」とは、特定のモチーフやイメージを、そのまま視覚的な形として描き起こしたロゴのことです。たとえば、富士山のシルエットを用いた富士急グループのロゴや、カメラをモチーフにしたインスタグラムのロゴなどが、分かりやすい例かと思います。

これらのロゴに共通しているのは、「なぜこのデザインなのか」を深く説明しなくても、見た瞬間に内容が伝わるという点です。意味の読み取りを必要とせず、視覚的な連想によって即座に理解できることが、描写型のロゴの最大の特徴だと言えるでしょう。
前章で題材とした「王道デザインのロゴ」が、業界内で共有された「様式」や「定番」を用いるのに対し、描写型のロゴは、指定された対象物やイメージをそのまま形にするというアプローチを取ります。このタイプのロゴでは、モチーフが何であるか、どの要素を描き、どの要素を省略するか、どの程度デフォルメをするかといった「描き方」の整理が重要になりますが、一方で、企業理念や思想、複雑な背景文脈までを前提とする必要はありません。だからこそ描写型のロゴは、「伝えたい対象が明確であること」「見た目で意味が通じること」を最優先する場面において、非常に機能的なロゴだと言えます。
そしてこの性質こそが、次に述べる 汎用AIとの相性の良さにつながっていきます。
汎用AIが描写型のロゴと相性がいい理由は、その入力の自由度と解釈の仕方にあります。
ロゴ生成AIが、業種や雰囲気、配色といったあらかじめ用意された条件の中からロゴを生成する仕組みであるのに対し、汎用AIは、入力内容にほとんど制限がありません。どんなモチーフを使うのか、何を描き、何を省くのか。形や構成、ニュアンスまでを、文章として自由に指定することができます。
この自由度は、「指定したモチーフをどう描くか」が重要になる描写型のロゴにおいて、特に大きな意味を持ちます。
たとえば「翼をモチーフにしたロゴ」と指示した場合、汎用AIはそれを単なるイラストとして描くのではなく、「ロゴとして成立する形」を前提に解釈し、線の簡略化やシンメトリー、抽象度の調整といった処理を行ったうえで出力します。写実的にも描けるはずの題材を、ロゴらしい図形表現として整えるという点に、汎用AIの強みがあります。
また汎用AIは、複数の要望を与えた場合でも、それらを一つの方向に強く収束させるのではなく、同じ重みで並べて可視化する傾向があります。「〇〇のモチーフを入れたい」「清潔感も欲しい」「親しみやすさも出したい」といった要望を、そのまま並列的に受け取り、全体として破綻しない形にまとめることを得意としているのです。
こういった汎用AIの強みを確認するために、1章のロゴ生成AIで行ったのと同様に、IT系セキュリティ会社のロゴをChatGPTとGeminiにで実際に作成してみました。
◆指示内容
【依頼内容】
IT系セキュリティ会社「ABC security」のロゴを作ってください。
【デザインの要望】
・「シールド(盾)」と「鍵orロックor南京錠」と「回路やネットワークを想起させる線や構造」を組み合わせた抽象的なシンボルマークをデザインし、その下に「ABC security」のロゴタイプを配置してください。
・色は、青系を基調とした配色としてください。
・欲しい雰囲気は、堅牢・安心・安全・信頼感です。
・ミニマルで無駄な装飾のないデザインとしてください。
◆生成されたロゴ(左:ChatGPT 右:Gemini)

デザイナーが制作する場合、そのブランドのシンボルとして成立するよう、要望の取捨選択を行い、伝える部分を尖らせたデザインへと向かっていくことがほとんどです。一方、汎用AIは、「何を残して何を削るか」を決める存在ではなく、この検証の結果のように、与えられた要望をできるだけ忠実に形へ落とし込む存在だと言えるでしょう。だからこそ汎用AIは、描きたいモチーフが明確で、伝えたい内容が比較的単純で、要望をそのまま形にしたいといった条件が揃った描写型のロゴにおいて、非常に高い相性を発揮するのです。
ここまで見てきたように、汎用AIは「描写型のロゴ」と非常に相性が良い特性を持っています。
では、その強みは、実際のロゴ制作において、どのような場面で最も効果的に発揮されるのでしょうか。
重要なのは、「AIだからすごい」「人より優れている」といった評価ではありません。
そのロゴに、何が求められているのかという前提条件を整理したときに、汎用AIという選択肢が合理的になる場面が、確かに存在するという点です。
① すべての要望を取り入れたロゴを作りたい場合
汎用AIが最も力を発揮するのが、「自分の要望を、とにかくすべて形にしたい」というケースです。
「〇〇のモチーフを入れ、形は△△で、◇◇の雰囲気がありつつ、なおかつ●●と▲▲のイメージも取り入れたい」というふうに、優先順位をつけるよりも、とにかく思いついた要素を全部盛り込んだロゴを作りたい、という考えは珍しくありません。
しかしこういったいわゆる「全部盛り」のロゴ作成をデザイナーに依頼した場合、ほぼ確実にその要望は取捨選択を迫られます。
なぜなら、ブランディング効果のあるロゴとして成立させるためには、伝えたいこと、表現したいことを絞り込む必要があるからです。デザイナーは、要望をそのまま詰め込むのではなく、「何を残し、どこを尖らせるか」を整理した上でデザインします。
一方、汎用AIはそうしたことを行いません。
与えられた要望を同列に受け取り、できる限り忠実に、破綻しない形へまとめようとします。
その結果、「自分が言ったことが、ほぼ全部反映されている」という、希望通りのロゴが出力されやすくなるのです。
ロゴとして尖っているか、戦略的か、見た目はどうか、という評価はさておき、「要望を削られたくない」「全部入れた場合を見てみたい」と時に、汎用AIは非常に相性の良い選択肢となるでしょう。
② デザインやメッセージ性よりも「見た目の機能性」を優先させたロゴを作りたい場合
汎用AIが有効に機能するもうひとつの場面が、ロゴに対して「意味」や「思想」よりも、何が描かれているかの「分かりやすさ」を最優先したい場合です。
ここで言う「見た目の機能性」とは、一目で業種や内容が分かる、説明なしでも意図が伝わる、見間違えにくく認識しやすいといった、ロゴが果たすべき情報伝達としての性能のことを指します。
たとえば、
・歯科医院のロゴに「歯」が描かれている
・美容室のロゴに「ハサミ」や「髪」が描かれている
・飲食店のロゴに「食器」や「食材」が分かりやすく表現されている
といったケースでは、複雑な設計や深い意味づけよりも、「何の店・何のサービスかが即座に理解できること」の方が重要になります。
汎用AIは、指定されたモチーフをもとに、「ロゴとして成立する範囲で、できるだけ分かりやすく描く」ことを得意としています。過度に抽象化しすぎることも、意味を隠すこともなく、視覚的な連想が働きやすい形にまとめる傾向があります。そのため、一目で業種を伝えたい、キャラクターや具体的な対象物を前面に出したい、ロゴを“読む”必要をなくしたいといった条件がある場合、汎用AIによる描写型のロゴは、非常に実用的な選択肢となるのです。
③ 一定の条件や様式に沿ったロゴを作る場合
汎用AIが描写型のロゴ制作において力を発揮する場面として、もうひとつ重要なのが、あらかじめ守るべき条件や様式が明確に定められている場合です。
ここで言う「条件」とは、感覚的な好みや抽象的なイメージではなく、数値やルールとして定義できる制約を指します。たとえば、
・縦横比や余白、配置があらかじめ決められている
・ファビコンやアプリアイコンなど、表示サイズやピクセル数が厳密に定まっている
・単色使用や反転使用が前提となっている
といった、ロゴを使う環境から逆算された制約条件です。
また「様式」とは、造形や雰囲気において、すでに共有されている型や文法のことを指します。具体的には、
・家紋を思わせる左右対称、円や菱形など決まった外形構造のロゴ
・印鑑・判子のように、限られた枠の中で成立する造形
・ピクトグラムや記号に近い、意味が即座に伝わる表現
などが分かりやすい例でしょう。
これらのロゴに共通しているのは、自由な発想や新奇性よりも、「決められたルールを正確に守ること」そのものが価値になるという点です。造形の良し悪しは、独創性や意外性ではなく、条件への適合度によって評価されます。
汎用AIは、このような状況と非常に相性が良い特性を持っています。
なぜなら汎用AIは、「この条件は重要で、これは削るべきか」といった判断を行う存在ではなく、与えられた条件を同列に受け取り、それらを同時に満たす形を導き出そうとする存在だからです。
縦横比、サイズ制限、色数、様式的特徴といった複数の条件を文章で与えれば、汎用AIはそれらを一つずつ解釈し、破綻しない描写としてまとめ上げます。条件が具体的であればあるほど、出力されるロゴは安定し、再現性の高いものになります。
この点において、汎用AIは「発想するデザイナー」とは、役割が大きく異なります。デザイナーの仕事が、条件や様式そのものを疑い、再設計し、場合によっては壊すことにあるのに対し、汎用AIは、既に定められた枠の中で、最も無理のない描写を行うことを得意とします。だからこそ、ルールから外れてはいけない、様式を崩すことが目的ではない、まずは条件通りに成立する形が欲しいといったロゴ制作の場面において、汎用AIによる描写型のロゴは、非常に合理的で実用的な選択肢になるのです。
ここまで、ロゴ生成AIや汎用AIが作るロゴの特徴と、その得意分野を整理してきました。
王道の型を再構成するロゴ、描きたいモチーフや条件をそのまま可視化するロゴにおいて、AIは非常に合理的で実用性の高いツールです。
一方、冒頭でも述べましたが、AIで作ったロゴに対して「整ってはいるが、どこか物足りない」「悪くはないのに、これだと言い切れない」と感じる場面があるのも事実でしょう。
この違和感の正体は、AIが作ったそのロゴについて、AI自身が「なぜそれでなければならないのか」という必然的な理由を与えられないことにあります。分かりやすく言うと、AIが作るロゴは、ネット上にある学習素材の傾向から導き出した「一般解」ではあっても、いわゆるオリジナリティを探求した「絶対解」にはならない、ということです。しかし、ロゴを必要としている多くの方が本当に欲しているのは「絶対解」の方で、これがAIが作ったロゴに対する違和感に対する正体なのです。
そして、「絶対解」となるロゴを作るために必要なのは、「成り立ち」を構築することです。
なぜこの形なのか。なぜこのモチーフなのか。なぜ他の表現ではなく、これなのか。
事業の背景や思想、言葉の意味、構造の中にある矛盾や違和感を掘り下げながら、最終的にこの形に行き着くしかなかったという必然性を、ひとつの図形として結論づけていく過程。そういった、理由・裏付けのある形を構築する「設計」という作業があってこそ、「成り立ち」を伴ったロゴとして成立していくのです。
この章では、AIでは代替しにくいこの領域が、どのようなプロセスで成立するのかを解説し、実例でその実際のところをご覧頂きたいと思います。
「成り立ち」を伴ったロゴとは、そのデザイン・形に至った「理由」や「裏付け」が存在するロゴだと言い換えることができます。
それは、見た目が整っているかどうか、好みかどうかといった話ではありません。形が決まるまでの思考の流れに、無理や飛躍がなく、理由が一本につながっているかどうか、という問題です。
AIで作られたロゴや、テンプレートを使ったロゴが「それっぽく」見えるのは、視覚的なバランスや業界的な型がすでに成立しているからです。しかし、そのロゴがなぜ数ある選択肢の中からその形を選んだのかという問いに対しては、明確な答えを持っていないことがほとんどです。
一方、「成り立ち」が設計されたロゴでは、形は「選ばれた結果」ではなく、「行き着いた結論」として存在します。
事業の背景、提供している価値、言葉の意味、業界内での立ち位置、抱えている矛盾や違和感。そうした要素を整理していくと、使うべき表現は自然と浮かび上がってきます。そうした過程を経て最終的に残った形は、「これ以外では説明がつかない」という必然性を帯びることになるのです。
重要なのは、この必然性が後付けの説明ではないという点です。
完成したロゴに意味を当てはめるのではなく、意味や背景を突き詰めた結果として形が決まっている。この順序が逆転していないことが、「成り立ち」のあるロゴの条件です。
つまり、ロゴの成り立ちとは、デザインの裏側にある思考の履歴そのものだと言えます。
なぜその形なのかを、他人にも、自分自身にも説明できる。その状態をつくることが、成り立ちを大切にしたロゴ設計の出発点になるのです。
ロゴ制作において、クライアントからの要望を聞くことは欠かせません。
ただし、その要望をどのように扱うかによって、ロゴの成り立ちは大きく変わります。
AIによるロゴ作成では、要望は基本的に「満たすべき条件」として扱われます。指定されたモチーフ、雰囲気、配色、テイスト。それらの条件から外れないことが、出力の正しさだからです。条件が明確であればあるほど、AIは安定した結果を返します。
一方、デザイナーにとって要望は、必ずしも条件ではありません。要望は、ロゴを設計するためのヒントとして受け取られます。
そこには重要な視点や判断材料が含まれていることもあれば、そのまま形にすると、かえってロゴの軸をぼかしてしまう要素が含まれていることもあります。たとえば「信頼感が欲しい」「先進的に見せたい」といった要望は、それ自体がデザインの答えにはなりません。なぜ信頼感が必要なのか、なぜ先進性を強調したいのかなど、その背景にある事業の状況や業界内での立ち位置、これまでの経緯を掘り下げていくことで、初めてロゴ設計の起点となる情報が浮かび上がります。
つまりデザイナーは、要望をすべて等しく扱うのではなく、どこまで重視し、どこから手放すかを見極めるのです。企業理念や姿勢、事業の構造、言葉の意味と照らし合わせながら、要望を取捨選択し、意味が一本につながる地点を探していきます。
そしてこの「温度差」こそが、AIとデザイナーの決定的な違いだと言えるでしょう。AIは要望を条件として忠実に守りますが、デザイナーは要望をヒントとして扱い、設計全体の中で位置付けし直すのです。
「成り立ち」を設計するロゴは、要望を多く取り入れた結果として生まれるのではありません。
要望を聞きっぱなしにせず、その奥にある本質を見極めた結果として、必然的に行き着く先と、それを説明できる状態をつくること。
それが、デザイナーによるロゴ作成なのです。

では実際のデザイナーによるロゴ制作の現場では、「要望」をどう扱い、「成り立ち」が伴うロゴをどのように作っているのかを見ていきましょう。ここでキーとなるのは、単なる要望をそのまま形にするのではなく、デザイナーによる「発見」というプロセスです。ここでは、当サービスsynchlogoが担当した実例を題材に解説してまいります。
例として取り上げるのは、東京都渋谷区に本社を置き、エステティックサロン事業を展開する企業、Hueee株式会社↗の会社ロゴ制作です。社名のHueeeは、「色合い(hue)」を語源とし、企業理念では「健康で自信に満ちた素敵な女性を育成し、多様な事業・人材を持って価値を世に提供する」という姿勢を掲げています。
このロゴ制作でクライアントから最初に頂いた要望は、社名由来をそのまま視覚化する内容で、「社名の由来である“色合い”というキーワードが直感的に分かる、パレットのようなモチーフを用い、その上で様々な色(=多様な事業・人材)が混ざる様子をデザインしてほしい」という具体的なものでした。
これは、社名の由来や企業理念を分かりやすく表現した要望であり、社名(色合い(hue))とも直接的に関係する、ロゴの作り方としては定番の手法でありました。一方、分かりやすい表現である反面、Hueee「らしさ」を表す深い必然性を伴う形にはなりにくそうだ、という予感もどことなく感じていました。

実際、こうした表現方法は、AIによるロゴ生成でも出力され得るものです。定番であるがゆえに、表層的なデザインに留まってしまう──これは、AIロゴが抱える限界と通ずるところもあるでしょう。
そこでsynchlogoは、要望の奥にあるものを探しに行きました。最初の発見は、社名の中に3つ並んだ「eee」という連続した文字列です。これは単なるスペルの偶然ではなく、「連続性」「繰り返し」「組み合わせ」という構造的な手がかりとして解釈できる余地がありました。これは、先ほど紹介したクライアントからの要望だけでは拾えない視点です。
さらに掘り下げていくと、クライアントが掲げる企業理念そのもの、つまりは社名の由来になった「想いの根本」にこそ本質的な構造があることに気付きました。Hueeeの事業は、専門性の高い複数のエステメニューや、それを支える多様な人材の集合体として機能しています。しかし、Hueeeはそれらの単なる集合体であるだけでなく、一人ひとり違う“色”を持ちながらも、その個性を活かしつつ、ひとつの新しい価値を生み出すといった考えに基づいている、ということだったのです。
この二つ目の発見をもとに、デザイナーはロゴの起点を「色合いのパレット」から「組織としての色の絡まり」に置き換え、ロゴを、まるで編み物のように見えるシンボルマークとして構成し直しました。編み物は、1本1本の色が独立して存在しつつも、全体としては個性的なテクスチャとして存在するものです。それは、会社が掲げる姿勢――彩り豊かな事業と人材が一体となって新しい価値を作り出す、という意味と一致したものでした。さらに、その編み物のマークには、社名にある「eee」の文字列を模様のベースデザインとして取り込むことで、社名自体がシンボルマークにもなっている、という独自性を出すことにも成功しています。


この最終案は、単にクライアントの要望を条件として満たしたものではありません。要望はヒントとして取り入れつつも、デザイナーが発見した本質に設計の起点を移すことで、「なぜこの形でなければならないか」という説明が成立するロゴに昇華しています。
こうした発見を起点としたプロセスは、AIには再現が難しいものです。AIは与えられた条件をベースに最適解を探ることはできますが、条件の奥にある背景や文脈、それが指し示す構造的な意味を見出すことはできません。AIに作れないロゴとは、要望そのものではなく、そこから離れた場所にある発見をデザインの起点として扱い、成り立ちを設計したロゴなのです。
ここまで、ロゴ生成AI、汎用AI、そしてデザイナーによるロゴ制作について、それぞれの特徴と向いているロゴの種類を整理してきました。
最後に、それらを踏まえたうえで、「結局どれを選ぶべきか」を一度、俯瞰して整理してみましょう。
重要なのは、どれが優れているかではなく、どれが自分の状況に合っているかです。
次の3つの観点から考えると、自分に合った選択肢が見えてきます。
・ロゴにかけられる時間(納期)
・ロゴにかけられるコスト(予算)
・ロゴに求める「こだわりの深さ」
これらを踏まえて整理すると、ロゴ作成の判断軸は次のようになります。
◆ロゴ生成AIが向いているケース
・とにかく短期間でロゴが必要
・業界の「それらしさ」や無難さが重要
・仮ロゴや検証用、複数案が必要な場面
・ロゴが主役ではなく、あくまで補助的な役割
この場合、王道の型を安定して出力できるロゴ生成AIは、非常に合理的な選択肢になります。
◆ChatGPT・Geminiなど汎用AIが向いているケース
・描きたいモチーフや条件が明確に決まっている
・「何が描かれているか」が一目で伝わることを重視したい
・単発用途や完結型のロゴ(イベント、キャンペーンなど)
・見た目の機能性や分かりやすさを優先したい
描写型のロゴでは、汎用AIの自由度と表現力が力を発揮します。
◆デザイナー制作が向いているケース
・なぜこの形なのかを説明できるロゴが必要
・ロゴが事業やブランドの中核になる
・要望が曖昧、もしくは矛盾していると感じている
・見た目よりも「成り立ち」や意味を重視したい
この場合、要望を条件として扱うのではなく、ヒントとして再解釈し、「発見」を起点に設計できるデザイナーの役割が不可欠になります。
もし「AIで作ってみたが、どこか納得しきれない」「悪くはないが決めきれない」と感じたなら、それは失敗ではありません。その違和感こそが、次の選択肢へ進むためのサインです。
ロゴ作成において重要なのは、「AIか、人か」という二択ではなく、いま必要としているロゴが、どの段階にあるのかを見極めることです。
AIで十分なロゴもあれば、AIでは届かない領域に入るロゴもあります。
この記事が、あなたにとって最適なロゴ作成方法を選ぶための、ひとつの判断材料になれば幸いです。
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